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Trump's Nuclear Twitter Menacing Ahead of UN Talks in March

トランプ氏のツイート、3月の国連核兵器禁止協議に悪影響か

【ベルリン/ニューヨークIDN=ラメシュ・ジャウラ】

An unarmed Minuteman III intercontinental ballistic missile is launched during a 2016 operational test at Vandenberg Air Force Base, California. Credit: Senior Airman Kyla Gifford/U.S. Air Force.ドナルド・トランプ氏が1月20日に第45代米国大統領に就任するのを控えて、専門家らは、同氏が核の危険を減らす政策を採るのか、それとも自滅的な軍拡競争につながる行動に訴えることになるのか、真意を測りかねている。

この推測合戦の背景にあるのが、国連総会が「核兵器の完全廃絶につながるような、核兵器禁止の法的拘束力ある文書」を交渉するために全ての加盟国に開かれた会議を3月に開くと決定したことである。ニューヨークの国連本部で開かれるこの会議は、3月27日~31日と6月15日~7月7日の2つの会期に分かれている。

「核兵器なき世界」への見通しを巡る不透明感を増している要因の中には、アントニオ・グテーレス新国連事務総長が、ポルトガル首相時代(1995年~2002年)に、五大国(国連安保理の5つの常任理事国である米国、ロシア、中国、英国、フランス)の核兵器政策について直接異議申し立てをしたことがない、という事実がある。

核不拡散・軍縮議員連盟(PNND)のグローバル・コーディネーターであるアラン・ウェア氏によると、この点は、昨年10月に、他の国連事務総長候補ではなくグテーレス氏が国連安保理常任理事国からの支持を獲得するうえで、何らかの影響を及ぼしていたかもしれない、という。5大国はいずれも核武装国で、核軍縮に向けた多国間協議が停滞している責任の大半は、この5大国にある。

グテーレス氏とは対照的に、国連事務総長として昨年末に2期目の任期を終えた潘基文氏は、成功を収めたとは言えないものの、2009年10月24日の国連デーに発表した「核軍縮5項目提案」を基礎にして、非核世界の大義を一貫して擁護してきた。

一方でグテーレス氏は、国連難民高等弁務官として、2013年3月にオスロで開催された第1回「核兵器の非人道性に関する国際会議」に参加している。

「グテーレス氏が国連事務総長として核軍縮問題にいかに取り組むかは、きわめて重大な問題です。」と、グローバル安全保障研究所のジョナサン・グラノフ所長は語った。

「核兵器やその他の大量破壊兵器を廃絶するという目的は、国連総会の最初の決議で全ての国連加盟国が合意したことです。この目標を達成するという無条件の義務は、国際司法裁判所でも全員一致で確認されています。しかし、これまでのところ、この目的は果たされておらず、人類は依然として核で絶滅する脅威の下で生きています。国連事務総長は、この中核的なグローバル問題に関して行動する責任と任務があるのです。」とグラノフ氏は語った。

核時代平和財団」はトランプ氏に宛てた1月3日付の公開書簡の中で、「日本や韓国、サウジアラビアのような他の国々を保護するために米国が金を使いすぎているから、これらの国々には独自の核兵器を開発する必要があるかもしれない、とあなたは示唆しました。しかしこうした核拡散は、世界を一層危険な場所にしてしまうでしょう。」と指摘している。

書簡はさらに、「イランの核計画に対して適切な制約を課し、国連安保理の5常任理事国に加えドイツにも支持された国際協定を破棄あるいは再解釈する可能性にあなたが言及されたのは、憂慮すべきことです。」と述べている。

「核時代平和財団」のデイビッド・クリーガー会長は、「トランプ氏は、米国の核兵器を使用する脅威に関して事実に基づいた理解をしていないようだ。これは米国市民を含む全世界にとって極めて危険なことだ。彼の大統領任期は、人類の歴史にとって最も危険な時期となるかもしれない。」とコメントした。

公開書簡は、核軍拡競争を終わらせ核軍縮を進める交渉を誠実に行う核不拡散条約上の義務を米国が負っていることを、トランプ氏に勧告している。また書簡は、核抑止というものは、極度な緊張下にある場合も含めて、あらゆる状況において政治指導者が合理的に行動する意志を前提とすると説明している。さらに、核拡散と新たな核軍拡競争はいずれも、世界をより危険な場所にすると述べている。

「軍備管理協会」のダリル・G・キンボール会長は、1月6日付の『アームズ・コントロール・トゥデイ』で「ドナルド・トランプ氏は核政策に関して、いくつかの望ましい発言と、いくつかの無責任なコメントをしている。カザフスタン政府が11月30日に行われたトランプ氏と同国大統領の間の電話会談に関して発表した声明によると、トランプ氏はヌルスルタン・ナザルバエフ大統領に対して、『グローバルな文脈において対処すべき問題として、核軍縮と核不拡散ほど大事なものはない。』と発言したとされる。」

「しかし、その数週間後にトランプ氏は、核備蓄を削減しグローバルな核競争を回避するという、この数十年に米国で超党派的な合意を得てきた政策から大きく離脱することを検討していると強く示唆した。」とキンボール会長は記している。12月22日、トランプ氏は「米国は世界が核兵器に関して分別を取り戻すまで、核兵器を大幅に強化、拡大すべきだ。」とツイートしている。

MSNBCからこの真意を問われたトランプ氏は「軍拡競争は望むところだ。私たちは相手を引き離し、置き去りにすることだろう」と答えたとされる。キンボール会長によれば、ホワイトハウスの次期報道官ショーン・スパイサー氏がこの発言の解釈として「NBCニュース」に対して、トランプ氏は他国に対して「大統領は行動を起こす用意があるとの警告」を送ったものだとの説明をしている。

キンボール会長は、「もしトランプ氏とその助言者らが、核の『警告』を効果的な手段と確信し、グローバルな軍拡競争への呼びかけが米国の国益だと信じているとするならば、彼らは再考すべきだ。」と正しくも指摘している。「核で威嚇したとしても、ロシアや中国、北朝鮮、テロリスト集団などの意思を挫くことはなかったことを歴史が物語っている。こうした虚勢は無謀で危険なものだ。同盟国を混乱に陥れ、世界的な核不拡散の取組みを阻害し、敵をかえって勢いづかせてしまう。」と指摘した。

「核時代平和財団」は公開書簡でトランプ氏に対して、米国大統領として彼は「自身の任期中に核兵器使用の威嚇を明示的に行ったり、核を使用したりすることがないようにする大きな責任を負っている」と指摘したうえで、「この責任を果たすもっとも確実な方法は、核兵器の完全廃絶に向けて他の保有国と協議することです。米国は、核不拡散条約第6条の下で、核軍拡競争を終わらせ核軍縮をもたらすような交渉を誠実に行う義務を負っています。」と述べている。

同書簡はさらに、「核戦争は、それがいかなるものであっても狂気の行為です。核兵器国間でそれが起きれば、攻撃された国だけではなく攻撃を仕掛けた国も破壊されることでしょう。米ロ間で核戦争が勃発すれば、人類の生存そのものが危機に瀕することになります。」と警告している。

さらに、「世界には依然として1万5000発以上の核兵器があり、そのうち米国は約7000発を保有している。そのうち、約1000発が警告即発射態勢にある。一方ロシア側でも、ほぼ同数の核兵器が警告即発射態勢にある。これでは、大惨事がいつ起きてもおかしくない。」

「核兵器が意図的に使用されなくても、偶発、誤算など不注意に使われる可能性がある。」と指摘したうえで、「核兵器と、過ちを犯す人間の性格は、危険な取り合わせである。」

「核抑止は、人間の行動に関するある特定の見方を前提としている。それは、極度な緊張下にある場合も含めて、あらゆる状況において政治指導者が合理的に行動する意志にかかっている。それには何の保証もないし、物理的な防護もない。極めて重大かつ悲劇的な形で、失敗しうるのです。」と書簡は述べている。

公開書簡はさらに、「他の大統領がそうであったように、あなたも、文明や人類、その他ほとんどの形態の複雑な生命を終わらせる力を手にすることになるでしょう。他方で、あなたが望むならば、段階的、検証可能で、不可逆的、透明な形で核兵器を廃絶する条約の交渉を通じて核兵器を終焉させ、『核ゼロ』を達成する方向性を導く機会も手にすることになるでしょう。」と述べている。

ノーム・チョムスキー氏やリチャード・フォーク氏、デイビッド・エルズバーグ氏、核時代平和財団の顧問や理事、スタッフら、それにトランプの大統領の任期は人類の歴史で最も危険な時期になりかねないと危惧する人々が署名したこの書簡は、「この書簡に署名した私達は、核兵器のない世界に向かって交渉の道を採ることをあなたに強く求めます。それは、人類すべてにとって、そして、すべての将来の世代にとって、偉大なる贈り物となることでしょう。」、と締めくくられている。

キンボール会長は、数十年にわたって、共和・民主両党の指導者らが、核戦力の制限・削減の合意を交渉し、核兵器拡散の抑制のために努力し、誤算や大惨事のリスクを低減する道を探ってきた、と指摘している。

キンボール会長は、「ロナルド・レーガン政権と冷戦の終結以来、米国は核戦力の規模を大幅に縮小してきた。実際、共和党政権の歴代大統領は、民主党の大統領よりも大胆に核戦力を削減してきたのである。1992年以来、所属政党に関わりなく、米大統領は核実験モラトリアムも順守してきた。」と記している。

キンボール会長はさらに、「もしトランプ氏が核の危険を増やすのではなく減らすことを望むならば、米ロの依然として巨大で致命的な核戦力を制限・削減するためにロシアと関与するという従来からの超党派的な政策を継続し、核実験に対する世界的な禁止を強化し、核兵器なき世界の平和と安全に、世界を近づけるための努力をすべきだ。」と記している。(1.09.2016) INPS Japan/ IDN-InDepth News