New Data Dampens Hope of a Global Ban on Nuclear Weapons - Japanese

核兵器の世界的禁止の希望をくじく新たなデータ

 【ベルリンIDN=ラメシュ・ジャウラ】

核兵器なき世界を目指す活動家らは「核兵器が禁止される日は近い」と自信を持っているが、ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が6月13日に発表した今年の核戦力データは、楽観主義を打ち消すものだ。

「兵器の数としては削減されていますが、核軍縮に向けた真の進展の見通しは依然として暗い。」「すべての核保有国が、核抑止を、自らの安全保障政策の要石として優先し続けています。」と、SIPRI核兵器プロジェクトのシャノン・カイル氏は語った。

しかし、ジュネーブを基盤にしている「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)にとっては、「もはや、疑う余地なく、世界の圧倒的多数の国々が、核兵器を禁止する条約の交渉に入る用意ができている。」活動家らは、まずは核兵器禁止を実現することで、核戦力の完全廃棄に向けた待望の進展が促進されること望んでいる。

この楽観的スタンスの背景には、ジュネーブで今年5月に行われた「核軍縮に関する国連公開作業部会」(OEWG)での議論がある。焦点になっているのは、核兵器を世界的に禁止する作業を開始するとの提案だ。

リーチング・クリティカル・ウィルのレイ・アチソン氏は、核兵器の禁止と廃絶に向けた法的欠落を埋める「人道の誓約」に127か国が署名していると指摘する。これらの国々は、核兵器を禁止・廃絶する新たな条約を緊急に検討するよう、公開作業部会に提案している。

「公開作業部会議長を務めるタイのタニ・トーンパクディ大使にとっての問題は、9月に国連総会に提出される報告書において、核兵器を禁止すべきとの圧倒的な支持と明確な勧告を盛り込むかどうかです。」とアチソン氏は語った。

「かつてよりも強烈に核兵器の支持を表明するようになっている核兵器支持国にとっての問題は、大多数の国々による明確な勧告を阻止するかどうかというところにある。核兵器禁止を追求する国々にとっての問題は、この会合において、熱心に、そして正当にも要求していたこと以下のものを受け入れるかどうか、というところにある。」

アチソン氏の問いへの答えは、公開作業部会の8月会合を待たねばならない。しかし、SIPRIのデータは、世界の核戦力における、不安を残すような現在の傾向と最新状況を示している。

データは、「世界の核兵器の数全体は減りつづけているが、どの核保有国も、近い将来に核兵器を放棄しようとは考えていない」現状を示している。

データによると、2016年1月現在で、9か国(米国、ロシア、英国、フランス、中国、インド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮)が4120発の作戦展開された核兵器を保有している。すなわち、ミサイルに搭載されたり、作戦展開された戦力のある基地に配備されたりしている場合である。

すべての核弾頭を数えるならば、9か国が合計でおよそ1万5395発の核兵器を保有しているとSIPRIは説明している。2015年1月現在では1万5850発であった。

SIPRIによると、世界の核戦力は、1980年代半ばのピーク時の約7万発から減ってきてはいる。この減少は主に、1991年以来の三次にわたる核兵器制限条約や単独での核戦力削減によって、ロシアや米国が核兵器削減を図ったためであった。

しかし、削減のペースは10年前に比べると緩慢なものであり、世界全体の核兵器のうち合計で93%を保有するロシアも米国も、2011年に二国間で結んだ「戦略攻撃兵器のさらなる削減・制限の措置に関する条約」(新START)以来、配備された戦略核戦力を大きく削減していない、とSIPRIは主張している。

同時に、SIPRIのデータは、ロシアでも米国でも、広範で高価な核兵器近代化計画が進行中であることを明らかにしている。例えば米国は、核戦力を維持し包括的に更新するために2015年から24年の間に3480億ドル(41兆4120億円)を支出することを計画している。米国の核兵器近代化計画は30年で1兆ドルもかかる可能性があるとの試算もある。

「オバマ政権が提示した野心的な米国の近代化計画は、核兵器の数を削減し、米国の安全保障戦略における核兵器の役割を低減するとのバラク・オバマ大統領の公約には反するものです。」とSIPRI年鑑の共著者ハンス・クリステンセン氏は語った。

デンマーク出身のクリステンセン氏はSIPRI軍縮・軍備管理・不拡散プログラムの上級研究員であり、米国科学者連盟(FAS)核情報プロジェクトの責任者でもある。

SIPRIのデータはさらに、他の核保有国にも小規模な核戦力があるが、軒並み、新たな核兵器運搬システムを配備するか、そうする意図を表明していることを示している。

約260発の核弾頭を備蓄している中国は、核戦力を近代化しながら、その数も徐々に増やそうとしているかのようだ。インドとパキスタンもまた、核兵器備蓄とミサイル運搬能力を拡大しているようだ。

2016年初め、インドには100~120発の核兵器があると推定されている。SIPRIによれば、この推計は、2015年1月時点の90~110発というインド核備蓄の規模からは増加しているという。

パキスタンは、2016年1月時点で110~130発の核弾頭を備蓄していると推計される。2015年の推計100~120発からは増えているとSIPRIは指摘する。

北朝鮮は、核弾頭約10発分に相当する核分裂性物質を保有しているとみられる。「しかし、北朝鮮が作戦地位にある兵器を製造あるいは展開したかどうかは不明だ。」とSIPRIでは主張している。 (06.13.2016) INPS Japan/ IDN-InDepthNews