Campaign for a Nuclear Weapons Free World Intensifies - Japanese

強まる核兵器廃絶運動

【ジュネーブIDN=ラヴィ・カントゥ・デヴァラコンダ】

核兵器がテロリストの手に落ちるリスクの高まりに国際社会が取り組む中、核兵器国(米国・ロシア・中国・フランス・英国・イスラエル・インド・パキスタン、北朝鮮)は、恐るべき核弾頭が存在しない世界を作り出すための勧告を準備しているジュネーブでの多国間核軍縮協議に背を向けている。

核兵器禁止条約を実現するための取組みを強化するため、「核廃絶国際キャンペーン」(ICAN)の呼び掛けに信仰を基盤とする団体を含む約130人の運動家が集結した。ICANの会合は核軍縮に向けた国連公開作業部会(OEWG)第二会期(5月2日~13日)に先だって開催された。OEWGの第一会期は2月22日から26日にかけてジュネーブで開催されている。

OEWGの任務は、核兵器のない世界の達成と維持のために締結される必要のある具体的で効果的な法的措置、法的条項および規範を起草することである。2015年12月に国連総会によって設置されOEWGは、核兵器の廃絶や、「偶発的、間違い、未承認、あるいは意図的な核兵器爆発のリスクを低減し除去する措置」を含め、核軍縮に向けた新たな世界的ルールを交渉することになっている。

米国が民間人の居住地域で大量破壊兵器を爆発させることを選択した70年以上前の広島・長崎への原爆投下で引き起こされた計り知れない悲惨と混乱、そして、30年前のチェルノブイリ原発事故と5年前の福島原発事故に起因する今も続く悲劇を考えるならば、核兵器国がOEWGでリーダーシップを発揮することを期待するのが当然だろう。

核兵器の拡散を止めるために公式の核兵器国(米・露・中・仏・英)が成した「グランド・バーゲン」(包括的妥協)である核不拡散条約が具体的なロードマップを提示しえない中、非核兵器国が具体的な核軍縮に向けた世界的取り組みを加速することが絶対的な要請となっている。

米国などの国々がスマート核兵器(=B61 Model 12:標的の種類や大きさなどに応じて核爆発エネルギーを制御できる小型ミサイル形式の核爆弾等)の開発に数兆ドルもの投資を行っている一方で、米国科学者連盟(FAS)は、2016年初頭現在の世界の核弾頭数を15350発と見積もっている。米国の核備蓄は4700発で、これに、ロシア(4500発)、フランス(300発)、中国(260発)、英国(215発)、イスラエル(80発)、インド(120発)、パキスタン(130発)、北朝鮮(10発)が続く。

最近、『原子科学者紀要』(BAS)は、「世界終末時計」を「真夜中まで3分前」から動かさないと発表したばかりだが、このことは、気候変動や核兵器使用の可能性などのリスクを考慮に入れると、破滅的な惨事に世界がそれほど近づいているとBASがみなしていることを反映している。

しかし、皮肉なことに、国連安保理の常任理事国(=公式の核兵器5大国)も、新興の核兵器国(イスラエル、インド、パキスタン、北朝鮮)も、OEWGの論議には加わっていない。

ICANのベアトリス・フィン代表はIDN-INPSの取材に対して、「私たちの前にある課題は決して容易なものではありません。」と語った。

「核兵器は巨大な兵器です。これまで存在してきた併記の中で最大のもので、政治的なモンスターといえます。核兵器は権力の究極的象徴で、(保有することが)安保理常任理事国入りの窓口となるとの見方も急速に広がっています。」とフィン氏は主張した。

核兵器国の不在にもかかわらず、非核兵器国やICAN、及び他の市民社会団体は、OEWGで徹底的に核兵器に関する調査を行い、国連総会において(核廃絶に向けた)強い説得力を持つ勧告をつくろうとしている。

ジュネーブでの会合では、ICANのパートナー組織である「ラテンアメリカ・カリブ海の人間の安全保障」(SEHLAC)は5月2日、「公開作業部会の今日と以前の会期で示された目の覚めるような証拠は、偶発的であれ意図的なものであれ、核兵器爆発のリスクが高まっていることを示しています。」と語った。

「私たちは、核武装国とその同盟国の間での近年の緊張の高まりが、核軍縮に向けた進展をより重要で緊急のものにしていると考えいます。」と、SEHLACの代表は続けた。

非核兵器国も、ICANやその多くの協力団体も、核兵器禁止という共通の目標に向かってどう前進すればよいのかについて具体的な提案を挙げた。

核兵器を絶対悪とみなし、禁止し、廃絶する「人道の誓約」にすでに127カ国が賛同している。この誓約は、核兵器という大量破壊兵器が未だに国際法によって明確に禁止されていない「法的欠落」を埋めることを目的としている。

この誓約は、ウィーンで開催された「核兵器の非人道性に関する国際会議」の閉会にあたって2014年12月9日に発表されたもので、核兵器を禁止する包括的条約の交渉開始を賛同国に容認するものである。

5か月前に国連総会で採択された「人道の誓約」は、核兵器を禁止する条約の妥結に向けた交渉に加わるよう諸国に呼びかけている。

非核兵器地帯条約(NWFZ)の加盟国であるアルゼンチン・ブラジル・コスタリカ・エクアドル・グアテマラ・インドネシア・マレーシア・メキシコ・ザンビアは5月2日、多国間の核軍縮協議を前進させる方法に関する4ページの提案を提出した。

NWFZ加盟9カ国による提案は「核兵器を禁止する法的拘束力のある文書」の策定を呼びかけている。すべての国家や国際組織、市民社会が集まる会議を2017年に招集し、「核兵器を禁止する法的拘束力のある文書の交渉を行う」との重要な勧告をなすように、OEWGに対して求めている。

ICANのフィン代表は、「9カ国によるこの提案は明確に重要なターニングポイントとなるでしょう。これは、政府が核廃絶へむけたプロセスへむけて、スタートを切る用意ができたことを示しているます。」と語った。

ラテンアメリカ・カリブ海諸国共同体、メキシコ、ニカラグア、フィジー・ナウル・パラオ・サモア・ツバルの5太平洋諸国は、核兵器を禁止する新たな条約を交渉すべきとの別の提案を出している。

形成されつつある広範なコンセンサスは、核兵器国・非核兵器国の双方が世界の市民社会と協力して、意義のある効果的な法的条約の実現に努力しなければならない、というもののようだ。

「もし私たちの最終目標が核兵器の廃絶であれば、核保有国の参加なしにそれを物理的になくすことはできません。」と創価学会インタナショナル(SGI)の河合公明平和運動局部長は語った。SGIは、192カ国に1200万人以上の会員を擁する日本に本拠を置く仏教団体である。

SGIはOEWGに対して提出した作業文書「人間の安全保障と核兵器」(A/AC.286/NGO/17)の中で、「核保有国だけでなく、全ての国家を含みつつ、市民社会の十分な関与を得た上での、地球的な共同作業でなければならない。」「すべての国家には、核軍縮の交渉を誠実に行ないかつ完結させる義務がある。」と論じている。

「私は、核兵器国と非核兵器国が一貫した議論を行えるような、本当の努力を開始するべきであり、両者の間にある問題と、その問題を解決するためにどのような行動がとれるかを見出さなければならないと強く思います。」と、寺崎広嗣SGI平和運動局長は語った。

寺崎氏はまた、IDN-INPSの取材に対して、「もし共通の目標が、普遍的な目標である『核兵器のない世界』を築くことにあるのならば、市民社会ネットワークは、(両者間において)そうした方向に議論が進むよう支援しなくてはなりません。」また、「安全保障あるいは経済的な観点から見て、核兵器が本当に保有国にとって有益なのかどうか、といった点も検討することが重要です。」と語った。

「様々な側面から見ても、核兵器という存在が人類を守るものではないことは、きわめて明白です。」「したがって、核による抑止は幻想であり、私たちはそこから抜け出さなければなりません。国家が依然として(多額の資金を)核兵器に投じていることは好ましいことではありません。」と寺崎氏は語った。

事実、SGIの作業文書が指摘しているように、核兵器の維持および近代化を継続すること自体、「世界の人的及び経済的資源を軍備のために転用することを最も少なくして」いくことを求めた国連憲章第26条の精神に反するものである。

「『核兵器のない世界』は世界で支持を集めつつあります。世界の大多数の政府が核兵器を禁止する新たな条約の交渉を望んでいます。核保有国が誠実な姿勢で(核兵器を廃絶する)議論に参加することを望んでいます。」と寺崎氏は語った。 (05.05.2016) INPS Japan/ IDN-InDepthNews