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Hiroshima Declaration Avoids Firm Commitment to Nuclear-Free World - Japanese

非核世界実現への堅い決意から逃げた広島宣言

【広島IDN=ロドニー・レイノルズ】

G7諸国(カナダ・フランス・ドイツ・イタリア・日本・英国・米国)の外相らが2日間の会合を締めくくって4月11日に「広島宣言」を採択したが、核兵器の完全廃絶に向けた具体的な約束をすることはなかった。

宣言は、見せかけだけの意図や、大量破壊兵器(WMD)の危険性に関する新鮮味のない言葉にあふれているが、「核兵器なき世界」の実現には踏み込んでいない。

ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)軍縮・軍備管理・不拡散プログラムの責任者タリク・ラウフ氏はIDNの取材に対して、「宣言には非常に失望した」と述べ、「広島・長崎への原爆投下から71年にあたって核軍縮と核兵器廃絶を約束するという重要な機会をみすみす逃した。」と語った。

G7外相が「国際社会の安定を推進する形で、全ての人にとってより安全な世界を追求し、核兵器のない世界に向けた環境を醸成するとのコミットメント」を打ち出したのは残念なことであった。

ラウフ氏は、「G7外相は、このコミットメントを、シリアやウクライナの混乱、北朝鮮の核開発に結び付けてしまっています。」と指摘したうえで、「(ISISとしても知られる)ダーイシュとの闘いや、ウクライナ不安定化への対処において、核兵器はまったく意味をなしません。」と主張した。

「そして、北朝鮮を武力あるいは核兵器で威嚇することは逆効果であり、朝鮮半島の安全保障環境を改善することにつながらない」と、国際原子力機関(IAEA)核検証・政策調整局長を務めた経験を持つラウフ氏は語った。

首都圏広島・長崎平和委員会」の創設メンバーであるジョン・スタインバック氏も同様に懐疑的だ。

ジョン・ケリー米国務長官は(原爆資料館)訪問で『とても心を動かされた』と述べ、『(この資料館は)われわれに核兵器の脅威を終わらせる責務だけでなく、戦争そのものを避けるため全力を注ぐ義務があることをあからさまに、厳しく、切実に思い出させる』と芳名帳に書き記しています。」「私たちはこうした感情に賛同します。現在の米国の政策がこうしたことを優先してくれればよいのですが。」とスタインバック氏は語った。

スタインバック氏はまた、「しかし実際には、米国は前例のない規模の核戦力強化を進めています。」「米国は核戦力『近代化』のために今後30年間で1兆ドルを費やす予定です。これには、小規模で、『より使用が容易な』兵器の開発も含まれているのです。」と指摘したうえで、「オバマ政権は、核兵器を廃絶するという公約に明白に反する行為をしています。」と語った。

スタインバック氏は、米ロの核戦力は削減されているものの、依然として約1万5000発の核兵器が存在し、その大部分は米国とロシアによって保有されていると語った。

「さらに、北大西洋条約機構(NATO)は拡大し、ロシアと直接衝突する危険性が高まっています。米国は中東での戦争を継続しています。さらに気候変動はさらなる政情の不安定化を招き、天然資源を巡る戦争が、さらなる紛争につながるだろう。」

「そして、『原子科学者紀要』の「世界終末時計」は、依然として「3分前」を指した状態にあるのです。」とスタインバック氏は語った。

4月11日に広島平和公園を訪問したケリー氏は、71年前に米国が投下した原爆で破壊された都市を訪問した初の米国務長官であり、最も高位の米外交官ということになる。

ケリー長官は、聖書の一節(ソドムとゴモラの街が天からの火と硫黄によって滅ぼされたとする記述)を想起させるような自国の戦争犯罪は認めない一方で、自身の訪問を「胸がえぐられるような体験」と劇的に表現したのである。

ケリー長官は広島で記者団に対して、「原爆の遺産はひどく衝撃的なもので、核兵器のない世界をつくり実行していくため、公職にある者すべてが持つ義務の深さを再認識させるものだった。」と語った。

しかし、ケリー長官が回答を避けた問題がある。つまり、2009年4月のプラハ演説で「核兵器なき世界」の実現を呼びかけた米国のバラク・オバマ大統領は、5月26~27日に伊勢志摩G7サミットに出席するため来日する際に、広島への歴史的訪問を果たすかどうかという質問である。

ケリー長官は、オバマ大統領が広島訪を望んでいると記者団に述べつつも、「大領領のスケジュールは立て込んでおり、サミットで来日した際に広島訪問がかなうかどうかはわからない。」と語った。

「(オバマ氏が)大統領として(広島に)来ることができるかどうかは、分かりません。」とケリー長官は語った。

もしオバマ氏が本当に広島を訪問すれば、核兵器を使用した戦争で今後、人間にどのような破壊がもたらされるかという厳しい現実に直面することになるだろう。

広島で発表された声明で日本の岸田文雄外務大臣は、「G7外相による初の広島平和公園への訪問は、核兵器なき世界に向けた動きを復活させる歴史的な第一歩となった。」と語った。

『ニューヨーク・タイムズ』によると、米国のジミー・カーター元大統領が1984年に平和公園を訪問したことはあったが、退任4年後のことであった。また、米下院のナンシー・ペロシ議長が2008年に訪問している。

「しかし、現役の閣僚クラス以上が(広島平和公園を)訪問したことはない」と『ニューヨーク・タイムズ』は報じている。

外相らは11日、「広島宣言」を採択して2日間の会合を終えた。宣言では、G7諸国が「核兵器が二度と使われてはならないという広島・長崎の人々の深い願いを共有した。」

声明は核不拡散条約(NPT)の重要性を強調しただけではなく、核爆発実験の禁止を呼びかけ、包括的核実験禁止条約(CTBT)の署名・批准を速やかにかつ無条件で行うよう、すべての国に訴えた。

5月のサミットでは、先進7カ国の指導者に加え、加盟28カ国の欧州連合(EU)からも代表が送られる。開催地は、日本の三重県志摩市賢島である。

広島宣言は、世界に未曾有の恐怖をもたらした第二次世界大戦から71年を経て広島でG7会合が開かれたことの重要性を強調した。

「広島及び長崎の人々は、原子爆弾投下による極めて甚大な壊滅と人間にもたらされた苦難を経験し、そして自らの街をこれほどまでに目覚ましく復興させた。この歴史的会合において、我々は、国際社会の安定を推進する形で、全ての人にとりより安全な世界を追求し、核兵器のない世界に向けた環境を醸成するとのコミットメントを再確認する。この任務は、シリアやウクライナ、そしてとりわけ北朝鮮による度重なる挑発行為といった、多くの地域における悪化する安全保障環境によって一層複雑なものとなっている。」

SIPRIのラウフ氏はIDNの取材に対して、「G7外相は核不拡散条約(NPT)への支持を表明し、インド・イスラエル・パキスタンに対してNPT加盟を呼びかけてはいるものの、核戦力を削減する核保有国の法的拘束力ある義務については軽視しています。」と指摘したうえで、「G7外相は、3つの核保有国(フランス・英国・米国)と、核兵器に固く結びつけられた安全保障体制の下に安住しているその同盟国(カナダ・ドイツ・イタリア・日本)を代表しているのだから、これは驚くべきことではありません。」と語った。

ラウフ氏はまた、「G7外相が、核兵器が人間や環境に及ぼす恐るべき帰結を認識し、ジュネーブ軍縮会議での多国間協議を通じて核兵器の完全廃絶をめざすことを約束していたら、そして、フランス・英国・米国が、(5月にジュネーブで第2会期が開かれる)国連総会によって設置された『軍縮の多国間協議に向けた公開作業部会(OEWG)』への反対から転換し、核軍縮を前進させるための道を探る話し合いに参加すると表明していればよかったのだが。」と語った。

核軍縮への方法と道筋について討論すべきとの国連加盟国の大多数の願いにこれら核兵器国が反発していることは、核武装国の本音を示すものだ、とラウフ氏は指摘した。

3月末、約52カ国の世界の指導者がワシントンで開催された核セキュリティーサミットに集い、民生利用核物質のセキュリティーを強化する方法について議論したが、核兵器に使用可能な世界の核分裂性物質(高濃縮ウランとプルトニウム)1800トンのうち83%は、1万5000発の核兵器とともに、協議の対象からは外されている。

「G7外相は、G7首脳が5月26~27日に日本で42回目のサミットを開く際に、真摯になって、次のことを約束すべきです。すなわち、他の核武装国とともに核兵器と兵器級核分裂性物質の削減と廃絶を図ること、そして、1996年に署名開放され、すべての核爆発実験を禁止しているCTBTを今年末までに発効させることの2点です。」「課題は大きいが、残された時間は少ない。G7首脳はその責任を果たすべく、立ち上がるべきです。」とラウフ氏は主張した。 (04.12.2016) INPS Japan/ IDN-InDepth News