Q&A: Nuclear Disarmament a Non-Starter, “But I Would Love to Be Proven Wrong” - Japanese

核軍縮が成功する見込みはない「しかしそれが間違いであればよいのだが」(ジェニファー・サイモンズ・サイモンズ財団創設者・会長インタビュー)

 【国連IPS=タリフ・ディーン】

相対性理論を構築したことで世界的に有名な物理学者のアルベルト・アインシュタイン博士がかつて発した有名な言葉がある。「第三次世界大戦がどんな兵器でもって戦われるのか私にはわからない。しかし、第四次世界大戦は、石と棍棒で戦われることになるだろう。」

おそらくアインシュタイン博士は、次の世界大戦では核兵器の使用で壊滅的な大殺戮が起き、その結果、人類は石器時代に後戻りすることを分かりやすい形で示したのだろう。

ほとんどの平和活動家によると、核兵器廃絶に向けた現在の動きは勢いを増しているとはいえず、大量殺戮兵器のない理想的な世界が実現する見通しは明るくない。

この数十年で、5つの主要な核兵器国(米国・英国・フランス・ロシア・中国)に、新たに4つの国(インド・パキスタン・イスラエル・北朝鮮)が加わってきた。

そしてもし、遅かれ早かれイランが核武装化することになれば、エジプトやサウジアラビア、トルコもそれに続く可能性がある。

最も恐ろしい最悪シナリオは、ウクライナの政治的危機とロシアによるクリミア併合が主な引き金となった、米ロ間の新冷戦の登場であろう。

5月22日まで続く、1か月に及ぶ核不拡散条約(NPT)運用検討会議にあわせて出された提案のひとつは、すべての核兵器を世界的に廃絶する国際条約の締結に向けた交渉を開始するというものである。

核軍縮を弛みなく追求しつづけてきたサイモンズ財団の創設者・会長であるジェニファー・アレン・サイモンズ博士は、この提案の現実性についてIPSにこう語った。「この提案に成功の見込みはないと思います。しかし、この見方が間違いであればよいとも思っています。」

2000年のNPT運用検討会議と、2002年の同準備委員会会合でカナダ政府のアドバイザーを務めたサイモンズ博士は、「核保有国は、核戦力の性能向上と長期計画の策定を進める一方で、相変わらずのレトリックを使い続けています。」と指摘したうえで、「もし実現する可能性があるとすれば、核兵器が作戦上に占める役割を低減させることに関するコンセンサスぐらいでしょう。」と語った。

「警戒態勢の緩和に関するグローバル・ゼロ委員会の報告書は好意的に受け止められています。」と、NPT運用検討会議参加のため5月上旬に国連入りしたサイモンズ博士は語った。核廃絶を目指して設立されたサイモンズ財団は、今年で30周年を迎える。

以下は、インタビューの抜粋である。

Q:現在のNPT協議からして、5月22日までに全会一致での成果文書採択に運用検討会議が成功すると思われますか?

A:それを判断するのはまだ早いですが、今のところ、全会一致の文書を得る見通しはあります。その場合、核兵器禁止条約(あるいは核兵器禁止)、核使用の人道的側面の問題は盛り込まれないでしょう。一部の政府代表らが、かりにNPTがこの点での合意に失敗した場合、公開の作業部会を通じて、核軍縮条約(あるいは核兵器禁止)、もしくは合意の枠組みを推進する用意があると聞いています。

Q:米ロ間の新冷戦は運用検討会議の成果に影響があると思いますか?

A:核保有国は核戦力をなくすつもりがないですから、影響はないかもしれません。新しい戦略兵器削減条約(START)によって核兵器は削減されますが、さらなる削減を定めた二国間の取り決めは今後ありそうもありません。

Q:完全核軍縮に向けた主な障害は何だと思われますか?

A:主な障害は「恐怖」でしょうね! ロシアと西側との間の信頼の欠如、そして、30を超える核能力を持つ国家が核兵器取得能力を手にしようとするかもしれないという信頼の欠如。私が最も恐れるのは、偶然であれ、計算違いであれ、意図的であれ、あるいは、高度に自動化されたシステムを発動させるか偽の攻撃を仕掛けるサイバー攻撃の成功によってであれ、核兵器の爆発が核廃絶への触媒になってしまう事態です。

米国は、自国の核兵器システムは(サイバー攻撃によって)破られないと考えているようですが、米国防科学委員会の最近の報告書によれば、米国の指揮・管制システムの脆弱性は未だかつて正確に評価されたことはないとのことです。ロシアや中国のシステムが脆弱かどうかについても知られていません。また、インドやパキスタンのシステムが脆弱でないと想定する理由もありません。

ロシアのウラジミール・プーチン大統領がロシアの核オプションを誇示したことは懸念材料であり、核兵器のもつ政治的意味合いを変えることにとっては障害となるでしょう。また、他の核保有国に対して、自国の核を保持し性能向上を図る口実を与えることにもなってしまいます。

Q:私たちが生きているうち、あるいは今後50年の間に、核軍縮は実現するでしょうか?

A:私の生きているうちに実現するかもしれません。ただし、恐らくそれはもう一度核爆発が起こった場合に限られると思います。核兵器が使用されれば、その結果はあまりにも悲惨なものであり、その行為は人道に対する犯罪になりますから、核兵器の禁止を促すことになるでしょう。

こうした状況において皮肉なのは、誰もが核兵器の使用を恐れ、軍も核兵器を好んでいないということです。しかしそれは、戦争犯罪を行なったり人道への罪を犯したりしたくないからということだけが理由ではなく、より悪いことに、核兵器の維持コストがあまりにも高く、むしろ他の兵器購入のために資金を取っておきたいという理由のためなのです。

率直に言えば、なぜ人々が殺戮に手を貸したいと思っているか、私には理解できません。(05.11.2015) IPS Japan