Israel’s Obsession for Monopoly on Middle East Nuclear Power - Japanese

|イスラエル|中東における核独占への強迫観念

【国連IPS=タリフ・ディーン】

イラン核協議の期限が3月24日に迫る中、政治的に白熱した議論を呼んでいるこの問題に内在する欧米諸国のあからさまな二重基準と、なにより、長年先送りにされてきた中東非大量破壊兵器(WMD)地帯創設提案の復活に関する議論が、活動家の間で再燃している。

エルサレムに拠点を置く『パレスチナ・イスラエル・ジャーナル』の共同編集人であるヒレル・シェンカー氏は、周辺国(とりわけ警戒対象はイランだが、サウジアラビアやエジプトも含む)の核武装を防ごうとのイスラエルの強迫観念について、「これは専ら、ベンヤミン・ネタニヤフ首相のやり口です。彼は国民の恐怖を煽る一方で、『イスラエルは(彼のような)強力なリーダーとともに困難に立ち向かい、確固とした立場を守らねばならない。』と主張することで、自身の政治的キャリアを構築してきました。」と語った。

そしてこれこそが、イスラエル総選挙を目前に控えてネタニヤフ首相が米議会で行う予定の、極めて論争的で党派的な演説の基本的な動機である。「予定されているネタニヤフ演説は、既にイスラエルの野党、米国内のユダヤ人社会、米国社会全般で強い反発を引き起こしています。」と、シェンカー氏は指摘した。

核兵器を取得する計画を一貫して否定し続けているイランは、ドイツおよび国連安保理五大国である米・英・仏・中・ロ(まとめて「P5+1」と呼ばれている)との協議の最終局面を継続することになる。

先週、イランのハサン・ロウハニ大統領は、いずれも核保有国である米国とイスラエルに対して、ややあてこすった調子で「あなたがたの国は、原子爆弾で自国に安全をもたらすことができましたか?」と問いかけた。

『ニューヨーク・タイムズ』紙は、「ワシントンに拠点を置く『軍備管理協会』が、イスラエルは100発~200発の核兵器を保有していると述べた。」と報じている。

イスラエルは、長年の政策として、核保有を肯定も否定もしないという立場を通してきた。しかし、米国・イスラエル両国とも、中東地域に非大量破壊兵器地帯を創設するという提案については、消極的な態度に終始してきた。

化学兵器禁止機関(OPCW)の元主任編集者であるボブ・リグ氏は、IPSの取材に対して、米国政府は、13にのぼる自国の諜報機関の一致した見解をとりまとめた報告書「国家諜報評価」を都合よく無視しています。」と指摘した。これらの報告書は、「2004年以降、イランが核兵器を取得しようとの意思を持った証拠はない」との見解を示している。

「イスラエルが中東地域で唯一の核保有国だとすれば、米国の核・通常兵器の能力を併せると、この2か国が中東地域において極めて強力な戦略的影響力を持っているということになります。そしてイスラエルにとって唯一の現実的な脅威であったシリアの化学兵器が廃棄された今となっては、こうした状況は、より現実のものになっています。」

「一方で、シリアの化学兵器が廃棄されたという側面は、奇妙なほどに無視されています。シリアは、イスラエル全体の人口稠密地域を目標にできるロシア製のミサイルを保有していました。」と、ニュージーランドの軍縮諮問委員会の元委員長でもあったリグ氏は語った。

軍事評論家らが提示している問いは、「核兵器を保有し、さらには米国が提供した先進的な通常兵器も保有しているイスラエルが、なにゆえに周辺国の大量破壊兵器を恐れる必要があるのか?」あるいは、「核武装するかもしれないイラン、あるいはサウジアラビアやエジプトが、イスラエル占領地域に暮らすパレスチナ人をも根絶することになることを覚悟のうえで、はたしてイスラエルに対して核兵器を使用するリスクを冒すだろうか? 」というものである。

シェンカー氏はこの点について、「もしイランが核武装を選ぶならば、その主要な動機は、イスラエルを攻撃することではなく、自国の体制を守ることでしょう。それでも、イランが核兵器を取得しない方が望ましいです。」と語った。

これまで核軍縮を強力に主張してきたシェンカー氏はまた、「もちろん、こうした危険への根本的な解決策は、中東地域に非大量破壊兵器地帯を創設することです。これには、並行する2つのプロセスが必要になるでしょう。つまり一つは、イスラエル・パレスチナ紛争解決に向けた道であり、もう一つは、(中東地域の)非大量破壊兵器地帯化を主要課題とするアラブ平和イニシアチブ(API)の支援を受けながら、中東の平和・安全保障体制を構築していく道です。」と語った。

ニューヨークで4月末から始まる予定の次の核不拡散条約(NPT)運用検討会議の開催以前に中東非核・非大量破壊兵器地帯化に関する会議(中東会議)が開かれる可能性について、シェンカー氏は、「この提案は依然として生きています。」と語った。

3月中旬、「アカデミック平和オーケストラ・中東イニシアチブ」がドイツのベルリンで「2015年NPT運用検討会議にあたり、ヘルシンキ会議に与えられた任務を果たす」というテーマで国際会議を開催することになっており、その中には、イスラエル、サウジアラビア、エジプト、ドイツの政府代表を交えて、中東会議のファシリテーターであるフィンランドのヤッコ・ラーヤバ大使に焦点をあてたセッションも予定されている。

シェンカー氏によれば、この国際会議にはイランからの参加者もあるという。

リグ氏によれば、イスラエルのベン・グリオン初代首相はイスラエル建国当初から核保有を望んでいたという。イスラエルは、1948年当時はまだ55か国ほどの加盟国しかなかった国連によって承認された。当時発展途上世界の大半は、依然として第二次世界大戦からの復興途上にあり、多くの新興国家はまだ誕生していなかった。

リグ氏は、「米国と当時の西側諸国が、国連創設に大きな役割を果たしました。」「これらの国々は、スウェーデンの国連代表であるフォルケ・ベルナドッテ伯がパレスチナ人に対して親和的だと疑われてイスラエルのテロリストにより殺害されたにもかかわらず、イスラエルの建国を望んだのです。」と語った。

「その際、パレスチナにも意見が求められ、イスラエル建国に反対しましたが、意見は無視されました。当時国連加盟国だったアラブ諸国は僅か2か国で、これらの意見もまた無視されました。今日のイスラム国家の大半は当時まだ存在していなかったか、あるいは無視されたのです。」

「国連がイスラエルを承認したとき、周辺のアラブ諸国(エジプト・トランスヨルダン・シリア・レバノン・イラク)はイスラエル国家の成立を阻止しようとパレスチナに侵攻しましたが、イスラエル軍に撃退されています。これらの国々は、アラブ世界のど真ん中にイスラエルが移植されるのを当時望まなかったし、今も望んでいません。そしてこれまで何も変わっていないのです。」

「欧米西側諸国がイスラエルを建国したことに対するアラブ諸国の頑なな敵意に直面するという状況の中、イスラエルはより安心感を増すために核兵器を開発したのです。」「もしイスラエルによる中東地域での核独占が終わるようなことがあれば、イスラエルは脆弱な立場に立たされます。そこで米国は、イスラエル以外の国による核保有を阻止するために前面に出てくるのです。」とリグ氏は語った。

今日、イスラエルですら、イランが核兵器を保有しているなどとは主張していない。

「中東地域における非核兵器地帯創設など単なる冗談のように思えます。もしイスラエルがNPTに加盟すれば、自国が保有する核兵器について申告し破棄しなければならなくなるのですから。」

米国は、イスラエルにNPT加盟を迫ることを回避する言い訳を続けている。米国は実際には中東で核拡散を進める要因になっているが、歴代の米国大統領はイスラエルが核兵器を保有していると公然と認めることは拒否している、とリグ氏は付け加えた。

こうしたことのために、たとえオバマ米大統領とネタニヤフ首相の関係が険悪でなかったとしても、中東非核兵器地帯は現実のものにならないだろう。

シェンカー氏は、ネタニヤフ首相の発言が出たのは、イスラム協力機構(加盟57か国)に支持されたアラブ連盟(加盟22か国)が、2002年以降、イスラエルに対して「アラブ平和イニシアチブ」(API)を提示する状況下においてであった。

APIは、パレスチナ占領の終了、東エルサレムを首都とした、西岸地区とガザで構成されるパレスチナ国家の樹立、難民問題への合意された解決策と引き換えに、和平と関係正常化を求めるものである。

「これは、核拡散の危険が中東で問題とはなっていないということを意味するわけではありません。」とシェンカー氏は語った。

「イスラエルが核兵器の独占を維持し、それを最後の手段としてのみ使うと約束している限り、誰もがこの状況と共存していくと思われます。」

「イランによる核兵器開発疑惑という難題は、地域の現状を崩し、核軍拡競争を引き起こしかねません。」とシェンカーは指摘する。残念なことに、国際社会は、ウクライナ情勢やイスラム過激派組織『イラク・レバントのイスラム国(ISIL)』問題といった別の危機に現在のところエネルギーを奪われている。

「したがって、来るNPT運用検討会議に関連した問題と、中東非大量破壊兵器地帯化に関して進展をもたらす必要性についても、必要な政治的関心が集まることが望まれます。」とシェンカー氏は語った。(2.13.2015) IPS Japan