Austrian Parliament Backs Government Efforts For Nuclear Disarmament - Japanese

オーストリア議会、核軍縮に向けた政府の取り組みを後押し

【ウィーンIDN=ジャムシェッド・バルーア】

オーストリア政府が12月8日から9日にかけてウィーンで開催される第3回「核兵器の非人道性に関する国際会議」に向けた準備を進める中、オーストリア議会が、核兵器のない世界を導くための同国の取り組みに法的基盤を与えた。

 ウィーンでの来たる会議は、ノルウェーのエスペン・バート・アイデ外相によって招集されオスロで2013年3月に開催された「核兵器の非人道性に関する国際会議」(オスロ会議)以降、3回目の会議となる。アイデ外相は、オスロ会議は「核兵器の爆発が人間や開発に及ぼす影響について事実を基礎とした討論を行う場を提供した。」と述べている。

オスロ会議には、127か国の代表に加え、国連機関、国際赤十字運動、市民社会代表、その他の利害関係者が参加した。アイデ外相は会議を総括して、「(会議に)これだけの幅広い参加を得たということは、核兵器の影響に関する地球規模の懸念とともに、世界中のすべての人々にとって最重要課題であるという認識が広がったことを反映した結果であると考える。」と述べた。

2014年2月13日から14日にかけてメキシコ西部ナヤリット州のヌエボバジャルタで開催された第2回「核兵器の非人道性に関する国際会議」(ナヤリット会議)では、「とりわけ、公衆衛生、人道支援、経済・開発・環境問題、気候変動、食料安全保障、リスクマネジメントといった領域を含め、21世紀の観点と関心から、偶発的か意図的かにかかわらず、いかなる核爆発もがもたらす地球規模かつ長期的な結末」について検討を加えた。

ナヤリット会議には、146か国の代表、国連、赤十字国際委員会、国際赤十字・赤新月社運動、市民社会組織の代表が参加した。

ナヤリット会議の議長は、オーストリアが第3回「核兵器の非人道性に関する国際会議」を主催すると申し出たことは、「オスロ及びナヤリットのフォローアップとして、現在の気運を高め、それらの結論をより確固たるものとし、前進させるものとして、参加者からは強い支持が示された。」と指摘したうえで、「多くの参加者が述べたように、ナヤリット会議は、核兵器国及びNPT未加盟国に対し、オーストリアでの第三回会議への参加を繰り返し求めていきます。」と語った。

さらに議長は次のように語った。「そうしていく上で、私たちは、過去において諸兵器がまず非合法化され、そして廃棄されてきたことを考慮しなければならない。これこそが、核兵器のない世界を達成する道だと信じています。また、このことは、核不拡散条約(NPT)やジュネーブ条約共通第1条でも示されているように、国際法に基づく私たちの義務と合致するものであると考えています。」

「核兵器の人道的影響に関する広範かつ包括的な議論は、法的拘束力のある条約を結ぶことを通じて、新たな国際基準及び規範を実現するとの、政府及び市民社会の誓約につながっていかなければならない。」

「私たちは、ナヤリット会議はこの目的に資する外交プロセスを開始する時期が来たことを示したと考えます。またこのプロセスには、特定の時間枠、最も適切な議論の場の明示、明確かつ実質的な枠組みが含まれるとともに、核兵器の人道的影響が軍縮努力の本質に据えられたものでなければならないと考えています。」

新たな原動力となるか?

「今こそ行動に移るべき時です。広島、長崎への核攻撃から70年目を迎える来年こそが、私たちが(核廃絶という)目標に向かうにふさわしい里程標である。ナヤリット会議は『ポイント・オブ・ノー・リターン(もはや後戻りできない地点)』なのです。」と議長は総括した。

こうした背景の下、オーストリア議会は全会一致の決議で、ウィーンでの来たる会議に「完全なる支持」を表明した。オーストリア議会は、この会議が、核兵器の人道的影響に関する議論を深化させ、市民社会組織の関与をさらに促進することで、国際的な軍縮の言説に新たなダイナミズムをもたらす」ことを期待している。

この動議は、クリスティン・ムトネン議員(社会民主党、核軍縮・不拡散議員連盟[PNND]共同議長)とラインホルト・ロパトカ議員(オーストリア国民党代表)が4月30日に外務委員会に提出したものである。

動議は、オーストリア連邦政府に対して、「軍縮と、国際法の下での核兵器の開発・販売・取得・拡散・保有の完全禁止に向けて、国際及び欧州レベルにおける取り組みを継続」するよう強く求めている。

決議は、連邦政府に次の行動をとるよう要請している:

・二国間及び多国間のレベルにおいて、非大量破壊兵器地帯の実現のために積極的に行動

すること。

・この点に関連して、国連安保理決議687に規定されている中東非核兵器地帯の構築と

いう目標を自らの目標として採択し、多国間及び二国間レベルでこの目的のためにイニ

シアチブをとること。

・武器輸出、及び、とりわけ紛争地帯への核兵器運搬手段の輸出に対する、欧州での効果

的な禁止を推進すること。

北大西洋条約機構(NATO)のドクトリンから核抑止論を撤回させるよう立場を明確にす

ること。

・現在のウクライナ危機に関連して、核抑止の拡大を目的としたいかなる政治的あるいは

軍事的行為にも反対すること。

・核兵器の使用の威嚇を最も強い言葉でもって非難すること。

・欧州内外における安全保障及び協力のための非軍事的政府間組織の強化、及び必要な場

合にはその創設を支持すること。

・欧州における核技術の輸出禁止、あるいは少なくとも強力な規制を支持すること。

この議会決議は、オーストリアのセバスチャン・クルツ外相が、ナヤリット会議において、オーストリア政府が第3回目のフォローアップ会議を主催する旨を提案した際に表明した次のような見方に完全に合致したものである。クルツ外相は、「核兵器は人類すべてにとっての恒久的な脅威であるのみならず、私たちが最終的に乗り越えなければならない冷戦の遺産でもあります。とりわけ、さらなる核拡散の危険を考慮すれば、国際的な核軍縮の取り組みには緊急のパラダイムシフトが必要です。」と指摘したうえで、「核軍縮は世界的な課題であると同時に、人類の集団責任なのです。」と語った。

ダモクレスの剣

新しい研究によると、限定的な地域核戦争でさえも、直後の人道的な緊急事態を超えて、保健、食料安全保障、気候、経済、社会秩序の面で世界的に破滅的な影響を及ぼすとされている。「この危険はけっして抽象的なものではありません。核の脅威は、例えて言えば、私たちの頭上にぶら下がったダモクレスの剣であり、国際的な取り組みの中心に据えるべきものなのです。さらに、偶発や判断ミス、テロによる核爆発の可能性は、私たちが注目しなくてはならない大きなリスクです。核兵器への依存は安全保障への時代遅れのアプローチです。地球そのものの完全なる破壊を基礎とした概念は21世紀においてあってはならないものなのです。」とクルツ外相は強調した。

「こうした言説は、安全保障ドクトリンにおいて冷戦思考がいまだ支配的な欧州において特に必要なものです。100年前、第一次世界大戦における破滅的な化学兵器使用によって、大量破壊兵器の時代が幕を開けました。今日の統合された欧州では、私たちはこの記念を利用しあらゆる努力を払って、20世紀の最も危険な遺産である核兵器を乗り越えなければなりません。」とクルツ外相は訴えた。

来たる会議の重要性は、ウィーンが国際原子力機関(IAEA)という核問題を取扱う唯一の世界機構の本拠地であるという事実にある。包括的核兵器禁止条約機構(CTBTO)とともに、IAEAは核兵器のさらなる拡散を防止するうえで重要な役割を担っている。

冷戦が終結して以来、世界における核兵器の総数は減っているものの、現状の規模は依然として人類の文明を絶滅させるに十分なものである。同時に、核武装国の数は増加し、核兵器を製造する技術的なハードルは下がってきている。したがって、オーストリア政府は、核兵器拡散の防止は、信頼性があり不可逆的な核軍縮と、核兵器を悪だとみなす国際的な取り組みと合わさってはじめて成しうるという立場を採っている。

オスロ会議やナヤリット会議で強調されたように、核爆発が起これば、政府や援助機関は、事態の大きさに対応できるような人道支援を行うことはできない。このために、オーストリア政府は、人道支援組織や市民社会組織全体との密接協力が、核兵器廃絶のために必要な広範な国際支援体制を構築していくために不可欠な要素だと考えるのである(オーストリア外務省ウェブサイト上のメモによる)。

人類によって共有された目標

「核兵器のない世界」は人類すべてが共有した目標だが、これまでのところ実現していない。冷戦後も、推定1万6300発の核兵器が依然として存在している。9か国が核兵器を保有していると考えられているが、核技術がより入手可能になるにつれて、よく多くの国家、さらには非国家主体さえもが、将来的に核兵器を開発しようとするかもしれない。

オーストリア外務省は「核兵器が存在し続けるかぎり、意図的であれ、計算違いあるいは狂気のためであれ、技術的または人為的なミスのためであれ、核の使用のリスクは現実のものである。従って核兵器は、人類と、地球上のすべての生命にとって耐えがたいリスクを呈しつづけている。いかなる核兵器の使用であっても、人類に最も甚大な緊急事態を引き起こし、地球規模で環境や気候、保健、社会秩序、人間開発、経済に壊滅的な帰結をもたらす。」と述べている。

現代の核兵器が一発でも爆発すれば、広島・長崎での災難をはるかに上回るような破壊と人的被害がもたらされるだろう。どの国家や国際機関も適切な支援を行うことなどできないだろう。核兵器は人類すべてにとっての存在上の危機であり続けている。これらのリスクは抽象的なものではない。それは、これまで理解されているより現実的で深刻なものであり、完全に除去することはできない。

したがって、核兵器がもたらす人道的帰結に対する関心の高まりは重要な動きであり、核兵器に関する国際的な議論に前向でまとまりのある効果をもたらしている。国際社会が、核兵器がもたらす帰結とそれに伴うリスクの大きさを議論し理解を深めれば深めるほど、核兵器を廃絶すべきだとの主張の正当性がより明確になり、そうすることの緊急性も強まっていくだろう。

オーストリア政府は、来たる会議で、世界的な核軍縮・不拡散体制を強化し、核兵器及び核軍縮に関するすべての世界的な取り組みにおいて人道上の要請を強く根付かせる世界的な推進力の強化に貢献することを目指している。

オーストリア外務省によると、ウィーン会議はすべての関心ある人びとに開かれたものになるという。すべての国に公的な招待状が送られ、専門家及び/あるいは高官を指名するよう求められるという。また国際組織や、専門的知識を持った市民社会の代表も歓迎される。

さらにウィーン会議では事実を基礎にした討論や専門的発表が行われ、参加者間での双方向的な議論を行うことを目指す。また、より一般的な性格の声明をなす機会が代表らに与えられるという。また、最貧国からの代表に対する限定的な支援計画も準備中であるという。(8.16.2014)  IPS Japan/ IDN-InDepth News