Towards Nuclear Disarmament with Monitoring and Verification

監視・検証を伴う核軍縮へ向けて

Photo: Twenty-two participants from 11 IPNDV partner countries gathered at Forschungszentrum Jülich in Jülich, Germany on September 23, 2019 to participate in the Nuclear Disarmament Verification Exercise, jointly organized by France and Germany. Credit: Forschungszentrum Jülich / Tobias Schlößer.【ニューヨークIDN=ラドワン・ジャキーム】

核兵器のない世界の実現に向けて国際社会が弛まぬ努力を続ける中、検証体制とその方法論が、これからの核軍縮活動を正確に監視・検証するという複雑な問題を理解する上で極めて重要となる。核軍縮活動は今後、各国を以前よりもさらに介入的な検証に従わせる方向にむかうものとみられている。

米国とロシアが実際に行ってきた検証での経験をはじめ、「核軍縮の検証に向けた国際パートナーシップ」(IPNDV)、国連安保理5大国(米国・ロシア・英国・フランス・中国)や関心をもつ諸国との対話から学ぶことで、核兵器禁止条約が規定する効果的な核兵器の禁止に貢献することが可能だ。

25カ国以上の参加を得て2014年12月に始まったIPNDVは、米国務省が「核脅威イニシアチブ」(NTI)と協同して行っている官民パートナーシップで、核兵器国・非核兵器国双方の能力を強化し、核軍縮の監視・検証問題に対処する技術的解決策を生みだすことを目的としている。

 

核兵器の数は、この30年間で、冷戦期のピーク時の約7万発と比べると、推定約1万4500万発と大幅に減少してきた。軍縮の専門家によれば、これだけの削減を可能としたのは、軍備管理条約の順守状況を互いに検証する能力を各国が高めたことにあるという。

核不拡散条約(NPT)に盛り込まれた目標である核兵器の更なる削減と核軍縮の前進に向けて強固な基盤を築くために、核兵器のライフサイクル(核物質の生産・管理,核弾頭の製造・配備・保管,削減・解体・廃棄等)を通じた監視・検証問題の正確な評価がきわめて重要だ。

NPT第6条は各締約国に対して、「核軍備競争の早期の停止及び核軍備の縮小に関する効果的な措置につき、並びに厳重かつ効果的な国際管理の下における全面的かつ完全な軍備縮小に関する条約について、誠実に交渉を行うこと」を義務づけている。

IPNDVは、2015年3月の初会合以来、核軍縮検証のための多様な国際プログラムを構築して新境地を開いてきた。IPNDVの構成国・団体は互いに協力して、核軍縮検証に伴う問題点とそれに対処する方途や技術を特定するうえで、貴重な成果をあげてきた。

第1フェーズ(2015年~17年)の焦点は、「基礎的解体シナリオ(Basic Dismantlement Scenario)」と呼ばれる、14ステップある核兵器解体プロセスのうち、ステップ6~10、すなわち解体施設に核兵器を受入れたところから解体後に核物質、爆発物質、構造材に分けて貯蔵するところまでの検証を対象としたものだった。

IPNDVは、「このパートナーシップは、核軍縮の検証という中核的な難題を解くためのアプローチを理解し発見する上で大きく貢献してきた。」として、第1フェーズの成果を「厳しい課題はあるものの、将来の核兵器廃棄プロセスにおいて安全、セキュリティー、及び機微情報の管理をうまく行いつつ、核兵器解体を多国間で監視することが可能な、潜在的に適用可能な技術、インフォメーションバリア、査察手順が準備できる。」と結論付けている。

IPNDVの第1フェーズは、アルゼンチンのブエノスアイレスで開催された2017年11

月の第5回総会をもって完了した。

第2フェーズ(2018年~19年)では、将来の核軍縮検証を支え、演習やデモンストレーションといった目に見える活動を通じて示していくために、効果的かつ実践的な検証オプションの理解を深化させた。

IPNDVは、技術者や政策集団、学界を含めた広範な核軍縮検証コミュニティへの関与と働きかけを強めている。加えて、ニューヨークの国連本部で2019年4月29日から5月10日まで開催された2020年NPT再検討会議第3回準備委員会において、「核軍縮検証に関する国連政府専門家会合(GGE)」およびNPT加盟国と、作業結果を共有した。

昨年12月3~5日にカナダ・オタワで開催された第7回IPNDV総会には、24カ国に欧州連合を加えた89人が集まり第2フェーズを完了、第3フェーズの計画過程に入った。

第7回総会では、IPNDVの知見を「机上から実践へ」持ち込むための実践的な活動や技術的デモンストレーションも行われた。参加者らは、第3フェーズ(2020年~21年)において対処すべき技術のギャップや政策課題に焦点を当てた。第3フェーズに関しては、3月18~19日にスイス政府主催で立ち上げシンポジウムが開催され、IPNDVのこれまでの活動と、広範な核軍縮検証におけるその位置づけを検証することになっている。

4月27日から5月22日にかけてニューヨークの国連本部で開催されるNPT再検討会議にわずか数週間先立つ形でシンポジウムと展示が開かれることは重要な意味を持つ。なぜなら、IPNDVの第1フェーズと第2フェーズの知見は、核軍縮検証における技術の可能性と限界、実践的な軍縮検証の演習とデモンストレーション、核軍縮の広範な文脈におけるIPNDVの作業に関連しているからだ。

今年1月に発表されたIPNDVの「第2フェーズ概略報告:核軍縮検証における机上から実践への移行」は、核兵器の申告を検証の問題や、核兵器削減の検証、検証技術に焦点を当てている。

12月にオタワで開催された第7回総会以降、IPNDVの参加者は、カナダで初めて原子炉が設置された歴史的場所である「チョークリバー研究所」を訪問し、兵器級核物質の有無を検証する実験技術のデモンストレーションを見学した。これは、核軍縮検証プロセスにおいて極めて重要な任務である。

チョークリバーでのデモンストレーションは、第2フェーズで行われた全5回の実践的演習・技術デモンストレーションの一環であり、核兵器解体サイクルの全体を通じて応用可能な技術と手順を確定するIPNDVの能力を高めることを目的としていた。

第2フェーズでは、演習とデモンストレーションに加えて、国家申告や条約の限界など、その他の監視・検証上の考慮をいかに見極めるかを追求したものであった。

これらの活動は、多国間での核解体検証は可能であるとした第1フェーズの知見を最終的に補強するものであるが、まだまだ課題は多い。特定の国の核兵器事業に特有の外部要因や安全・危機管理情報の流出を防ぐために、ツールや政策、手続きに関連した検証オプションの柔軟な適用が必要とされることだろう。(02.14.2020) INPS Japan/ IDN-InDepth News