Kazakhstan Honours Advocates of a Nuclear-Free World

カザフスタンが非核世界推進の立役者を表彰

Photo (left to right): Ms Zerbo, her husband Nazarbayev Prize laureate CTBTO Executive Secretary Lassina Zerbo, Kazakh President Tokayev, First President Nazarbayev, Ms Yukika Amano, widow of late IAEA Director General Yukiya Amano, Nazarbayev Prize laureate and his brother Mari Amano. Credit: akorda.kz.【ベルリン/ヌルスルタンIDN=ラメシュ・ジャウラ、浅霧勝浩】

核軍縮・不拡散で世界をリードする存在だと広く認められているカザフスタンが、今年の「核実験に反対する国際デー」に際して、「核兵器なき世界」の実現に尽力してきた2人の人物を表彰した。中央アジアに位置するカザフスタンは、1991年に崩壊したソ連の構成国として、かつては世界第4位の核戦力を保有していた。

10回目の「核実験に反対する国際デー」を国連が公式に記念した今年の8月29日、カザフスタンの初代大統領ヌルスルタン・ナザルバエフ氏が、包括的核実験禁止条約機構(CTBTO)準備委員会のラッシーナ・ゼルボ事務局長と、7月18日に逝去した国際原子力機関(IAEA)の故・天野之弥事務局長に対して「ナザルバエフ賞」を首都ヌルスルタン市で贈呈した。

受賞のために、故天野事務局長の妻の幸加氏、弟で元ジュネーブ軍縮会議日本政府代表部特命全権大使の天野万利氏が親族としてカザフスタンに到着した。

2016年に創設されたナザルバエフ賞は、核軍縮と世界の安全に顕著な貢献があった個人に贈られる。第1回目の受賞者はヨルダンの国王アブドッラー2世で、中東非核・非大量破壊兵器地帯創設に向けた取り組みと、150万人のシリア難民を受け入れた功績に対するものであった。

カザフスタンのカシム=ジョマルト・トカエフ大統領は、故天野氏とゼルボ氏が核不拡散と安全のために成し遂げた重要な功績を称賛した。

「IAEAを率いた天野之弥氏は、カザフスタンに低濃縮ウラン(LEU)バンクを創設する上で主導的な役割を果たし、イラン核問題の解決に貢献しました。ラッシーナ・ゼルボ氏の活動と努力により、包括的核実験禁止条約の国際監視ネットワークはほぼ完成間近です。ゼルボ氏はまた、CTBTO賢人会議やCTBTO青年グループの創設を主導しました。」とトカエフ大統領は語った。

トカエフ大統領はまた、「今年はカザフスタンが核不拡散条約に署名し、IAEAに加盟してから25年を迎え、中央アジア非核兵器地帯を創設してから10年の節目の年となります。」と語った。

授賞式には、イタリアの元外相で選考委員会のメンバーでもあるフランコ・フラティーニ氏、IAEAのマリー・アリス・ヘイワード事務次長、アフメット・ウズムキュ化学兵器禁止条約機構(OPCW)元事務局長、「核脅威イニシアチブ」の元副議長で英国元防衛大臣のデズモンド・ブラウン氏、沙祖康・元国連事務次長(経済社会担当)、国際平和ビューローのライナー・ブラウン共同議長といった、錚々たるメンバーが出席した。

式典の参加者らは、賞の重要性と意義や、軍縮・不拡散分野でカザフスタンが実績を残すうえで同国初代大統領(国のリーダー)が果たした主要な役割、国益のみならず世界全体の利益に奉仕した世界クラスの政治家としての初代大統領の活動、地域と世界の安全保障強化への価値ある貢献に触れた。

授賞式は、国連が2009年に全会一致で指定した8月29日の「核実験に反対する国際デー」に合わせて開催された。

この日は、ソ連が40年にわたって456回の核実験を行ったセミパラチンスク核実験場の閉鎖を記念する日である。カザフスタンでは、約150万人が核実験の影響を受けた。トカエフ大統領は、セミパラチンスク核実験場の閉鎖決定は「歴史的な重要性」を持つと指摘した。

「ソ連の軍事エリートや個々の政治家らの抵抗を乗り越えて、ナザルバエフ初代大統領が下した核実験場を閉鎖するという決定は、大変な勇気と強い意志を必要とするものでした。これによって、反核運動全体が促進されました。」とトカエフ大統領は語った。

「核兵器による戦略的安定という古めかしい観念を捨てよ」

これを受けて、カザフスタンのナザルバエフ初代大統領は、核保有国である米ロ間の対立の激化と、中距離核戦力(INF)全廃条約からの両国の脱退は「重大なマイナスの影響」を及ぼすと語った。

「宇宙領域を含め、米ロ両国が開始した核軍拡競争の再燃は重大な懸念事項です。INF条約は失効しましたが、カザフスタンもかつてこの条約の当事国でした。」と初代大統領は語った。

初代大統領は、テロ集団が核兵器を取得するリスクが最大の脅威であり続けていると警告した。また、「世界の20カ国以上が危険な核物質を保有しており、このそれぞれが破壊的な勢力の標的になりうる。」と指摘した。

初代大統領はまた、「世界の9つの核兵器国(米国・ロシア・中国・イギリス・フランス・北朝鮮・インド・パキスタン・イスラエル)に自国の核戦力を縮小する意図は見られない。」と指摘するとともに、「世界的に不信が高まり、地政学的な対立が強まる中で、世界はかつてなく困難な局面に向かっている。」と語った。

さらに、授賞式の参加者と国際社会に対して、非核世界に向けてより積極的な取り組みを行うよう強く訴えるとともに、「私達は、核兵器による戦略的安定という古めかしい観念を捨て、新たな核軍備管理の仕組みを創出しなければなりません。核兵器削減一般条約の策定に向けて協議することが重要です。」と語った。

初代大統領は、核兵器国による法的拘束力のある消極的安全保障の効果的なシステムを作る必要性を強調した。さらに、「同時に、核クラブのメンバー達は、一連の義務と制約に従って、大量破壊兵器の領域における各国の政策を調整せねばなりません。まずもって、核施設を維持し近代化する旧来からの慣行を縮小することが必要です。」と語った。

さらに初代大統領は、「この賞は、将来、核兵器なき世界が必然的に訪れるということを示すものです。」と語った。

国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、授賞式に寄せたビデオメッセージで、カザフスタンの取り組みに敬意を表した。

「核実験の禁止を含め、核兵器なき世界の実現は、軍縮関連で国連が最も重視する課題です。カザフスタンは、このミッションに対する力強い支援国です。この目標に向けた取り組みを行ってきたヌルスルタン・ナザルバエフ大統領と、この賞の創設に感謝申し上げます。今年の受賞者である天野之弥氏とラッシーナ・ゼルボ氏は、まさにこの賞に値する人物です。」とグテーレス事務総長は語った。

グテーレス事務総長は「軍縮・核不拡散レジームは、根深く益々深刻化する難題」に直面している」と指摘するとともに、「国際社会は、あらゆる人々の目標である『核兵器なき世界』の実現を一致して強調せねばなりません。私達の将来を守るために、皆さんの支援が必要です。」と語った。(8.31.2019) INPS Japan/ IDN-InDepth News