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Experts Discuss Prospects Of Peace On The Korean Peninsula

専門家らが朝鮮半島の平和の見通しを討議

Photo (from left to right): Noboru Yamaguchi (Japan); Yang Xiyu (China), Chung-in Moon (South Korea), Kevin Clements (Coordinator: Toda Institute), Joseph Yun (USA), Georgy Toloraya (Russia). Credit: Yukie Asagiri.【東京IDN=浅霧勝浩】

朝鮮戦争(1950~53)における「戦闘行為と武力行使の完全停止」をもたらした休戦協定から66年が経過した。休戦協定の一年後、中国の周恩来首相兼外相は和平条約を提起したが、米国のジョン・フォスター・ダレス国務長官が拒否したため、朝鮮半島の最終的な平和解決は未だに成立していない。

休戦協定が署名されたことで、南北朝鮮の事実上の国境である非武装地帯(DMZ)が設定されて停戦が発効し、戦時捕虜の本国送還を終了した。非武装地帯は38度線に沿って置かれ、1953年の休戦協定発効以来、北朝鮮と韓国を分断している。

米国のドナルド・トランプ大統領と金正恩北朝鮮最高指導者がシンガポールで昨年6月に行った初の首脳会談では、和平協定の問題は重視されていなかった。このことは、ベトナムのハノイで2月27・28両日に開催予定の2度目の首脳会談でも同様であろう。

ハノイ会談を目前にして、「朝鮮半島における平和の構築――休戦協定から恒久的平和協定への転換」と題するシンポジウム(第3回東京会議)が開催された。

戸田記念国際平和研究所とニュージーランド・オタゴ大学国立平和紛争研究所が主催したこのシンポジウムでは、南北朝鮮間の平和宣言の是非や、停戦協定に代わる恒久的な平和協定への転換のあり方について、韓国・米国・中国・ロシア・日本の観点から議論がなされた。

しかし、5か国からの様々な観点が明らかにしたように、朝鮮半島に安定的な平和をもたらすのは困難な課題になるだろう。米朝両国は、朝鮮半島の非核化が実務的に意味するところについて合意を見ていない。また、韓国・米国・中国・ロシア・日本の5か国の国益や外交上の利益は互いに一致していない。

そのような中で、金正恩最高指導者は新年の辞の演説でとりわけ重要なことを述べている。金最高指導者は、休戦体制を平和体制に転換するための「多国間交渉」を呼びかけたのである。

これは、文正仁韓国大統領特別補佐官(外交・国家安全保障担当)が、核問題の当事国間が信頼を醸成し問題に対処していく必要性を強調したことに近い。文特別補佐官は、合意は「履行」されてこそ意義があるとし、アジアにおける全ての当事国と米国が参加するサミット開催を提案した。

ジョセフ・Y・ユン元米国国務省北朝鮮政策特別代表は、北朝鮮は自国の安全保障上の懸念について米国から特別な保証を得ない限り、自ら非核化することはないだろう、という見解を示した。ユン元特別代表は、「北朝鮮の核は(長年にわたる)苦労の末に作り上げたものだ」と指摘したうえで、平和協定を結び、核兵器の解体と検証を行う「体系的なアプローチ」の必要性を訴えた。

楊希雨中国国際問題研究院上級研究員(六者会合交渉官)は、朝鮮半島の動向を深読みしすぎることに対して警告を発した。楊上級研究員は、具体的な事例として、1991年から92年と1994年から2002年にかけて米朝が21のテーマについて協議し、うち17件に関して合意に達したが、結局その後危機が訪れた事例を挙げた。

にもかかわらず、2018年に行われた3回の南北朝鮮首脳会談、米朝会談と中朝会談を目の当たりにして、これらを「歴史的機会」だとみなす傾向がある。2019年には、米朝首脳会談が1回、中朝会談が1回以上、それに南北首脳会談も実施されるだろう。

楊上級研究員は、「事態を複雑にしているのは、北朝鮮にとっての関心事が和平協定にあるのに対し、米国の関心事が北朝鮮の非核化にある点です。」と指摘したうえで、「平和の基盤としての勢力均衡という構造を完全に」取り除く必要があると強調した。

ロシア科学アカデミー経済研究所・朝鮮問題研究室長であり、ロシアBRICS研究委員会の委員長でもあるゲオルギー・トロラヤ氏は、「利害のバランス」を取ることを求めた。

トロラヤ研究室長は、ロシアが2018年に2つの提案をしていることを指摘した。ひとつは「凍結には凍結を」の原則で、具体的には、米韓が合同軍事演習を停止する代わりに、北朝鮮は核実験を凍結するというもの。そしてもうひとつは、南北朝鮮間で「多くの合意と取り決め」につながるような二国間交渉を行うというものである。

トロラヤ研究室長はまた、国連軍を代表した米陸軍のウィリアム・K・ハリソン中将と、中国人民志願軍も代表した北朝鮮人民軍の南日(ナム・イル)大将との間で締結された1953年の休戦協定は、今回のシンポジウムのテーマが示唆するような平和体制の基盤にはなりえない、と主張した。なぜなら、韓国はこの休戦協定の当事者ではないからだ。休戦協定の唯一の目的は、戦闘行為の停止と捕虜の送還といった技術的な問題であった。休戦協定では、協定が署名され発効してから3ヶ月以内に政治的諸問題を清算するための会議を開くこととされていたが、この会議は失敗に終わった。

「私たちは、朝鮮半島の実情を前提とした平和を構築する必要があります。この問題がグローバルな性格を帯びていることを考えると、当然ながら、南北朝鮮のみならず、米国、中国、そして日本やロシア、さらには国際社会全体も巻き込まなくてはなりません。これは、二国間あるいは地域の問題ではなく、核拡散と平和愛好というグローバルな問題なのです。」とトロラヤ研究室長は語った。

トロラヤ研究室長はまた、「平和体制のためのある種の法的基盤を構築しなくてはなりません。たとえば、多国間宣言、あるいは、条約、北東アジア6カ国サミットのようなものが考えられます。9月に国連総会が開催される際に、6カ国外相が宣言をすることでこのプロセスを始めることができるかもしれない。」と語った。

トロラヤ研究室長の見方では、多国間合意、あるいは、交戦当事国間で締結される法的拘束力がある一連の二国間協定を通じた多国間プロセスが必須である。中でも重要なのは、それぞれの義務の履行を監視するメカニズムを作るべきだとしている点である。

結果的に、そのメカニズムは、朝鮮半島とその近隣諸国を包含する「地域協力と安全保障体制の核」になっていくかもしれない。「北朝鮮が、トランプ大統領の言うような経済的ロケットになるかどうか分からないが、この国には大きな可能性があります。」と、トロラヤ研究室長は語った。

元陸上自衛官(陸将)で国際大学教授の山口昇氏は、当事者間に見解の食い違いや優先順位の違いがあることを指摘した。しかし、北朝鮮が核兵器や核技術の拡散という手段に訴えることは、間違いなく危険なシナリオになると語った。

さらに、もし北朝鮮が核保有国として容認されることがあるならば、北朝鮮が2003年に脱退したNPT体制にも深刻な影響を及ぼすことになるだろう。北朝鮮の核武装は、他の国々がそれにつづくインセンティブを与えることになる。

一人あたりのGDPが韓国の20分の1しかない国が米国と対等の立場で交渉でき、米国に到達する核弾頭を取得したことで報奨を得ることができると「100余の」国々が気づいたならば、非核保有国が核武装に突き進む道が開けるだろう。「そのような事態は防がねばなりません。」と山口教授は語った。

山口教授はまた、脅威認識の違いについて、日本は中距離ミサイルを危険視しているのに対し、韓国では、短距離ミサイルや大砲すら十分脅威として認識されている、と指摘した。他方で、米国では大陸間弾道ミサイル(ICBM)が最重要問題とみなされるかもしれず、それが全面戦争の引き金になりかねない、と語った。

山口教授は、「しかし、多様な脅威認識のその先を見すえ、物事が正しい方向に進むかどうか準備をしておくことが必要です。たとえば、もし北朝鮮が平和的な方法で非核化する完璧なシナリオに乗ってくるのならば、日本をはじめ他の国々も、北朝鮮の経済成長に対する技術的・資金的インセンティブを準備しておかねばなりません。」と語った。(2.20.2019) INPS Japan/ IDN-InDepth News