73 Years On, a Nuclear-Weapons-Free World Remains a Mirage

あの日から73年、依然として幻の「核兵器なき世界」

【ベルリンIDN=ラメシュ・ジャウラ】

Photo: Secretary-General António Guterres (front left) views an exhibit at the Nagasaki Atomic Bomb Museum on 9 August 2018. UN Photo/Daniel Powellノーベル平和賞受賞者のアドルフォ・ペレス・エスキベル氏と仏教哲学者の池田大作氏は、「われわれは常に新しい日の夜明けに立っているのである“we are always on the threshold of a new dawn”」というマーチン・ルーサー・キング・ジュニア牧師の言葉を想起すると共に、2017年7月の核兵器禁止条約の採択こそが、そうした「新しい日の夜明け(=境目“threshold”)」であったと断じている。

両氏は、メディアと一般市民、特に青年を対象にローマで発表され、フランシスコ教皇に手渡された共同声明「世界の青年へ レジリエンス(困難を乗り越える力)と希望の存在たれ!」において、禁止条約は核兵器を「一切の例外なく禁止する国際条約である。」と指摘している。

この声明はまた、フランシスコ教皇の要請で2017年11月にバチカンで開催された「核兵器なき世界と統合的な軍縮に向けての展望」をテーマにした国際シンポジウムにも言及している。

池田博士が会長を務める創価学会インタナショナル(SGI、本部東京)などのシンポジウム参加者らは、核兵器なき世界を追求するうえで、核兵器の脅威を取り除かねばならないという点で一致した。

したがって「そうした『武装した理論』と決別する時が来ているのだ」と、エスキベル博士がバチカンで6月9日にフランシスコ教皇に手渡した共同声明は述べている。

国連のアントニオ・グテーレス事務総長も同意見だ。長崎への原爆投下から73年を経た8月9日の式典で事務総長は、「残念ながら、被爆から73年経った今も、私たちは核戦争の恐怖とともに生きています。」と語った。

「ここ日本を含め何百万人もの人々が、想像もできない殺戮の恐怖の影の下で生きています。核保有国は、核兵器の近代化に巨額の資金をつぎ込んでいます。」と、事務総長は語った。

朝日新聞の田井中雅人記者は、これを「トランプ政権に対するほとんど明白な批判」だと評している。田井中記者はさらに、国連事務総長として初めて被爆地・長崎の平和祈念式典に参列したグテーレス氏の演説は、「名指しは避けながらも、国連加盟国の大半が賛同した核兵器禁止条約に背を向けて『使える核』の開発をめざすトランプ米政権に向けた強い抗議のメッセージを込めた。」と述べている。

グテーレス事務総長は、「2017年には、1兆7000億ドル以上のお金が、武器や軍隊のために使われました。これは冷戦終了後、最高の水準です。世界中の人道援助に必要な金額のおよそ80倍にあたります。」と語った。

さらにグテーレス事務総長は、「その一方で、核軍縮プロセスが失速し、ほぼ停止しています。」と述べたが、これは、米国・ロシア・中国・英国・フランスの5核保有国に対する明らかな批判であった。事務総長はさらに、「多くの国々が昨年、核兵器禁止条約を採択したことで、これに対する不満を示しました。」と付加えた。

その数日前、広島では、中満泉国連軍縮問題上級代表が、「世界の安全保障、国家の安全保障、そして人間の安全保障に対して核兵器がもたらす脅威について、何十年にもわたって世界を啓発してきた被爆者と広島の人々の献身的な努力」に対して、グテーレス事務総長に代わって感謝の言葉を述べた。

「世界は、皆様の道義的リーダーシップを引き続き必要としています。過去何十年にわたり核兵器のない世界という共通の目標に向け機運が高まってきましたが、今、その進歩は停滞しています。核保有国間の緊張も高まっています。核兵器の近代化がますます進められ、さらに核装備が拡大されている恐れさえあります。」と中満氏は事務総長に代わって述べた。

これらの発言は、「新しい日の夜明け」の希望を打ち砕く冷厳な現実を示しているようだ。

しかし、米国の神秘論者で作家のテレンス・マッケナ氏が書いているように、「現実そのも

のは、固定的なものではなく…ひとつの帰結に向かって進展していくある種の生命体のようなもの」であることから、核軍縮の専門家らは悲観してはいない。

エスキベル博士と池田博士は、「昨年の核兵器禁止条約の採択に際し、市民社会の力強い後押しの中核を担ったのは、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)をはじめとする世界の青年たちの連帯であった。」と主張した。

Photo: SGI Vice President Hiromasa Ikeda (2nd from left) and Dr. Pérez Esquivel (2nd from right) with two youth representatives presenting joint appeal at a press conference at Rome’s Foreign Press Association on June 5, 2018. Credit: Seikyo Shimbun.グテーレス事務総長は、核兵器の恒久的な廃絶を支持する国際世論と、この目標達成に向けた動きが遅々として進まないことに対する不満が現状を変え得ることを期待して、世界の指導者らに対して「対話と外交の重要性を再認識し、核兵器の完全廃絶、そしてすべての人にとってより安全で安定した世界の実現に向け、再び共通の道を歩まねばなりません。」と訴えた。

グテーレス事務総長の軍縮に関する新しいイニシアティブには、このような背景がある。5月に発表した「共通の未来を守るために」と題する事務総長の軍縮アジェンダは、国際平和と安全保障を確保するための具体的な手段として軍縮への努力の強化をはかるものだ。

UNFOLD ZERO」は、国連記念日「核兵器の完全廃絶のための国際デー(核廃絶国際デー)」である9月26日に注目するよう呼びかけている。この日は、1983年に核戦争が偶発的に起きかけた日でもある。この日を記念して、国連はニューヨークで半日間のハイレベル会合を開く予定だ。

この日、世界の指導者らはニューヨークに集って国連総会の会期を始める、と「UNFOLD ZERO」は指摘している。

これは、「プラハビジョン」、核軍縮・不拡散議員連盟(PNND)、バーゼル平和事務所、平和首長会議2020ビジョンキャンペーン、アオテアロア平和弁護士団、世界未来評議会、世界連邦運動グローバル安全保障研究所の共同プロジェクトだ。

「UNFOLD ZERO」はまた、核兵器なき世界の実現に貢献する別の機会についても提示している。すなわち、元々は今年5月に3日間の会期で開催が予定されていた「核軍縮に関する国連ハイレベル会議」を支持することだ。しかし、世界未来評議会軍縮委員会のアラン・ウェア共同議長によると、核兵器擁護派がハイレベル会議の延期を図ったのだという。

彼らは今、会議そのものの中止を画策している。しかし、もし会合が開かれることになれば、警戒態勢の解除や核兵器先制不使用、核備蓄の削減、核兵器禁止条約に対する支持の形成といった軍縮に関する措置や、核戦争を予防する点で、具体的な進展をもたらす重要な機会を提供することになるでしょう、とウェア氏は指摘した。

2017年にノーベル平和賞を受賞した核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の創設時からのメンバーで条約コーディネーターを務めるティム・ライト氏は、122カ国によって採択された核兵器禁止条約が、採択から一年でいかに成果を上げてきたかを分析している。

核兵器禁止条約がニューヨークで2017年9月20日に署名開放された際、署名国が続出するという歓迎すべき動きがあった、とライト氏は語った。その日のうちに50カ国が署名し、うち3カ国は批准まで済ませた。

これまでのところ、60カ国が署名し、14カ国が批准している。批准のペースは、生物兵器禁止条約化学兵器禁止条約包括的核実験禁止条約(CTBT)といった大量破壊兵器に関する他の多国間条約よりもはるかに早い、とライト氏は説明した。

加えて、アフリカ、ラテンアメリカ、東南アジア、太平洋諸国において、議会や省庁、立法府で条約加盟に向けたプロセスが順調に進んでいる。「最近、スイス国民議会下院が条約への署名を求める決議を可決し、ニュージーランドの内閣が批准を決定しました。…欧州議会は加盟28カ国に対して、条約の署名・批准を呼びかけています。」とライト氏は付け加えた。

ライト氏は、IDN-INPSの特別ウェブサイトに掲載されたインタビューにおいて、「私たちは、核禁条約が2019年中に発効することを望んでおり、この目標に向けて行動を起こしています。…既に多くの国々が批准手続きでかなり進んだ段階にあります。いくつかの国については、この数カ月で批准書を寄託する準備が整うでしょう。」と述べている。核兵器禁止条約は、批准した国が50カ国に達してから904日後に発効することになっている。

とはいえ、条約発効後も、核兵器の完全廃絶に向けたさまざまなレベルの努力が継続されなければならないだろう。なぜなら、安全保障理事会(安保理)で拒否権を持つ5つの核兵器国も、あるいは、インド・パキスタン・イスラエル・北朝鮮も(これらの国々で合計約1万5000発の核兵器を保有している)、核兵器を放棄しようとはしていないからだ。

このことは、核共有政策を維持しているNATO加盟国(ベルギー・ドイツ・イタリア・オランダ・トルコ)や、日本や韓国のように米国の核の傘を享受している国々についても同じことが言える。

米国・ロシア・中国・英国・フランスの安保理常任理事国が核戦力放棄を拒んでいることで、他の4核保有国もこれに倣うことが容易になっている。イスラエルは核戦力に関して「あいまい政策」を採り、核保有について肯定も否定もしていない。他方、インド・パキスタンは、相手からの核攻撃の可能性に対する抑止力として自国の核保有を正当化している。

インドは、核軍縮の目標は、「普遍的なコミットメントに裏書きされた」段階的なプロセスと、安保理5大国以外の核保有国に対しても差別的でないグローバルな多国間枠組みの合意によって達成されると確信している。

これは、北朝鮮が非同盟運動(NAM)の会合で長年にわたって繰り返している議論だ。しかしこの点は、同国の「非核化」をめぐる議論の中ではしばしば見落とされている。(8.20.2018) INPS Japan/ IDN-InDepth News 

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