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ICAN Expects Nuclear Ban Treaty to Enter into Force in 2019 - Japanese

ICAN、2019年の核兵器禁止条約発効を期待(ティム・ライトICAN条約コーディネーターインタビュー)

【シドニーIDN=ニーナ・バンダリ】

Photo: Tim Wright addressing the UN conference to ban nuclear weapons on behalf of ICAN on the second last day of negotiations on 6 July 2017. Credit: ICAN | Vimeo2018年に核戦力による威嚇が強まるのを世界が目の当たりにするなか、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)は、各国政府に核兵器禁止条約(核禁条約)への署名・批准を働きかける世界的な民衆運動を支援している。ICANの条約コーディネーターを務めるティム・ライト氏は、IDNのニーナ・バンダリ記者に、軍縮、核兵器のリスクと帰結に対する認識を高めること、そして今日の世界には核禁条約がなぜかつてないほど必要なのか、について語った。

ライト氏は、核禁条約が2019年中に発効することを期待している。彼は南北対話を開始した韓国の文在寅大統領の「優れたリーダーシップ」を称賛しつつも、「しかし、真の平和は、核兵器が、北朝鮮だけではなく、全ての国々による全面拒否に基づくものでなければならない。」と指摘している。また、ドナルド・トランプ大統領によるイラン核合意破棄については、「核不拡散の努力を阻害するもの。」と述べている。

インタビューの全文は次の通り:

バンダリ:ICANの核禁条約コーディネーターとして、ICANの2017年ノーベル平和賞受賞以来、世界的な核軍縮シナリオについて何が変化したとお考えですか。

ライト:2017年ノーベル平和賞の受賞は、ICANにとって核禁条約に光をあてる活動の助けになっています。また、核禁条約への署名・批准を獲得する機運を高めるのに貢献しました。ICANのノーベル平和賞受賞はまた、別の道を選択することが可能であり、私たちが永遠に核戦争の瀬戸際で生きていく必要はないことを示しました。

ノーベル平和賞受賞演説で、私たちには、核兵器の終わりか、それとも、私たちの終わりか、二つの終わりのどちらをとるかという選択肢が与えられていると述べました。私は、このシンプルなメッセージは世界の人々の共感を呼んだと思っています。世界中の人々が、この恐ろしい兵器が人類に及ぼす脅威について深く憂慮し、これを廃絶するために政府に緊急の対策を講ずるよう望んでいるのです。民衆は変化を切望しています。私たちには、世界各地で自国の政府がこの条約に署名するよう取り組んでいる多くの仲間がいます。

バンダリ:核禁条約が2017年9月20日に署名開放されてから、これまでに58カ国が署名し10カ国が批准しました。条約が発効するには50カ国が批准しなければなりません。5月14日から16日にかけて予定されていた「核軍縮に関する国連ハイレベル会議」は無期限延期されました。核禁条約はいつ発効すると期待していますか。

ライト:私たちは、核禁条約が2019年中に発効することを望んでおり、この目標に向けて行動を起こしています。条約が発効するにはさらに40か国の批准が必要ですが、既に多くの国々が批准手続きでかなり進んだ段階にあります。いくつかの国については、この数カ月で批准書を寄託する準備が整うでしょう。

私たちはニュージーランドとアイルランドが今年の半ばまでに条約に批准すると期待しています。またラテンアメリカの多くの国々が議会に条約を提出しており、今年中に批准することが期待されています。したがって、核禁条約は今年末までの発効に向けて推移しています。

2017年にニューヨークで行われた軍縮活動に鑑みれば、2018年の国連ハイレベル会合は、ある意味以前に考えられていたほど重要でなくなっているというのが、一般的な考え方でした。国連ハイレベル会合が無期限延期となった背景には様々な要素があり、とりわけハイレベル会議設立の根拠となった国連総会決議を提出した主催団体側の組織力の欠如が指摘されています。

ICANはハイレベル会合の準備に関与していませんでした。今は、核禁条約に署名・批准する国を増やすことに焦点をあてています。私たちは核禁条約が発効してから1年以内に国連事務総長によって開かれる第一回締約国会合の開催に向けて努力を傾けています。

北朝鮮の非核化と核軍縮を促進する

バンダリ:米朝首脳会談は6月12日開催の方向で進んでいるようですが、核禁条約の発効という観点から、米朝首脳会談にどのような結果を期待しますか。また、朝鮮半島に平和をもたらそうと積極的に行動している韓国の役割をどのように見ていますか。

ライト:米朝首脳会談が実現するかどうかは未だ明確ではありません。金最高指導者とトランプ大統領の双方から、首脳会談をキャンセルか日程変更するかもしれないというコメントを聞いています。双方とも予想が大変難しい政治指導者だと考えています。なにが起こってもおかしくない状況ですが、私たちは、このプロセスから何らかの前向きな結果が生まれるものと、引き続き慎重ながら楽観的な見方をしています。

南北対話を開始した韓国は素晴らしいリーダーシップを示しました。文氏はこの状況の中で思慮深い立ち回りをしたと思います。しかし、真の平和は、核兵器が、北朝鮮だけではなく、全ての国々による全面拒否に基づくものでなければなりません。韓国がいわゆる米国の核の傘で守ってもらうという考え方を拒否することが極めて重要です。この危険な軍事概念こそが、核兵器が安全保障を強化するという愚かな考え方を助長しているのです。

私たちは、核禁条約は朝鮮半島の非核化を前進させ核軍縮をより広く促進するうえで大いに関係があることを示したい。私たちは、こうした協議に関わってきた全ての国々に対して、核禁条約に署名・批准し、同条約を核軍縮を実現するための道具として利用するよう呼びかけています。

バンダリ:米国による2015年イラン核合意からの撤退は世界にとってどのような意味合いを持つでしょうか。イランは産業レベルでウラン濃縮を始めるでしょうか。また、この出来事は中東における核軍備競争の前兆となるでしょうか。

ライト:これは大いに懸念すべき出来事です。全てが、イランによる包括的共同作業(JCPOA)の完全順守を示唆していたからです。国際原子力機関(IAEA)は、イランは合意に則って引き受けた内容を履行していると繰り返し認定してきました。従って、今回の米国による行動は、全く正当化できないのみならず、核不拡散の努力を阻害するものです。私は、今回の米国の動きは、イラン国内の急進派に対して危険なメッセージを送ることになったと考えています。急進派は、イラン独自の核兵器計画を実現したがっている可能性がある人々です。私は、イランの現政権が核兵器を開発する意図を持っているとは思っていません。

米国がイラン核合意から離脱したことにより、より広範な分野で様々な悪影響が及ぶことになります。例えば、今後の北朝鮮との交渉過程において、米国の主張が真剣に受け止められにくくなるでしょう。米国がイランに関して筋を通していないなかで、北朝鮮がどうして米国が筋を通すと期待するでしょうか。イラン核合意の欧州の当事国(英国、ロシア、フランス、ドイツ)は、米国による合意撤退を強く非難しました。しかし、私たちは単に核不拡散に焦点をあてるだけの議論から先に進む必要があります。

全ての国々が既存の兵器を廃絶しなければなりません。イラン核合意の締結国をみるとイラン以外の全ての国々が核兵器を保有しています。私たちは欧州の締結国が核禁条約に加盟し、実際に核兵器を廃絶するよう望んでいます。ドイツは独自の核兵器を保有していませんが、米国の核兵器を領内に受け入れています

バンダリ:最近、米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに、核軍縮交渉が停滞する中、「コンピュータの誤作動や人的・技術的な間違い、軍事対立の激化で」核攻撃が起こりうる現実を警告した寄稿文が掲載されました。こうした事態がおこる可能性を減らすには、どのような措置が緊急に講じられるべきでしょうか。

ライト:私は全ての核兵器国が、不注意による核兵器使用のリスクを減らす措置をとれると考えています。つまり、まずは核ミサイルの『警告即発射』態勢を解除し、次に、実戦配備から外すのです。核兵器が二度と使用されないよう保障する唯一絶対の方法は、全ての核兵器を不可逆的に廃棄することです。核兵器が世界に存在する限り、いつの日か再び使用され人類と環境に壊滅的な影響をもたらす深刻なリスクがあります。

ICANは、各国に核禁条約への署名と批准を強く働きかける取り組みに加えて、核兵器のリスクと帰結について人々の意識を高めていく活動を今後も継続していきます。依然として多くの人々が、人類が直面している現実の危険性に気づかないままでいるのです。

米国とロシアは世界の核兵器の90%以上を保有していることから、両国が軍縮に向けてリーダーシップを発揮する必要があります。しかしそのようなリーダーシップは、国内世論と国際社会からの圧力があってはじめて現実のものとなります。だからこそ、世界の大多数の国々が核禁条約に加盟して一刻も早い核軍縮を求めていることを示すことが極めて重要なのです。

バンダリ:核兵器を保有しながら核不拡散条約に加盟していないインド、パキスタン、イスラエルといった国々の核禁条約に対する反応としては、どのようなものがありますか。

ライト:インドとパキスタンは、核不拡散条約について、条約交渉時点で既に核兵器を保有していた国々と、条約発効後に核兵器を開発した国々では扱いが異なる差別的な制度であるとして、長年にわたって批判してきました。

しかしながら、核禁条約は全ての国々を平等に扱う仕組みとなっているので、インド・パキスタン両国は、もはや核軍縮措置を支持しない口実は使えません。今までのところ、両国からは、なぜ核禁条約への署名や批准を拒否しているのか、明確な理由を聞いていません。インド・パキスタン両政府に対する国内の民衆からの圧力が高まることを期待しています。ICANは両国においてそのような民衆運動を構築していきます。

イスラエルについては、イスラエル軍縮運動というICANのパートナー組織が、核兵器についての国民的議論を巻き起こす取り組みを行っています。彼らはイスラエル国会(クネセト)で国会議員と軍縮問題に関する公開討論会を開催するなど、僅かながらも軍縮議論を前進させてきています。しかし、依然としてやらなければならないことが多い。核禁条約は、各国に対等の立場で軍縮に貢献できる道筋を提供しています。(5.28.2018) INPS Japan/ IDN-InDepth News