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U.S. Undermining the Global Nuclear Testing Taboo

|米国|核実験をタブー視する世界的な規範を損なう恐れ

【ベルリン/ジュネーブIDN=ラメシュ・ジャウラ】

Photo: Early September 2017 the U.S. government conducted flight tests of the B61-12 nuclear gravity bomb over Nevada. More are required before it enters service in 2020. Credit: TomoNews YouTube video今後5年から10年の米国の核政策、戦略、能力、軍事態勢を概説した最新の文書が、トランプ政権は包括的核実験禁止条約(CTBT)を批准するつもりはないと明記している。他方で、核実験再開の可能性も排除していない。

2018年核態勢見直し」(NPR)と題されたこの文書は「米国はCTBTの批准を支持しない」と明記している。しかし他方で、米国は包括的核実験禁止条約機構(CTBTO)準備委員会を支持しつづける、ともしている。

1996年にCTBTが署名開放された際にウィーンに設置されたCTBTOは、70カ国出身の260人の職員と、年間約1.3億ドル(1.2億ユーロ)の予算を擁している。

CTBTOによれば、2005年以来の委員会の予算は、通貨変動に伴うマイナスの影響を緩和するために、分割通貨システムによって準備されている。加盟国の評価分担金は、米ドルとユーロそれぞれの通貨における委員会の予想支出額にしたがって、両通貨に分割される。

2013年8月以来ラッシーナ・ゼルボ博士が事務局長を務めるCTBTOの主な任務は、包括的核実験禁止条約の促進と、同条約が発効したら運用状態にできるように検証体制を構築するところにある。

米国防総省が2018年2月2日に発表した2018年NPRは、米国は「関連した国際監視制度と国際データセンター」を支持しつづけると述べている。

CTBTOのウェブサイトによると、米国は2011年9月に2件の大きな自発的拠出金を支払っている。1件目は890万ドルで、核実験探知のためのCTBTOの検証・監視活動全体をさらに発展させるために、CTBTOと協力して米機関が行うプロジェクトを支援するものである。

たとえば、放射性核種や希ガスの探知技術の向上、地震波探知技術の精緻化、補助的な地震波探知局の設置などである。

ゼルボ事務局長は、2月26日のジュネーブ軍縮会議(CD)ハイレベルセグメントの場で、CTBTOの監視活動を取り上げて、「国際監視制度(IMS)は、今日の世界における最大の成果の一つと称賛されています。」と語った。

かつて1990年代にCTBTが協議されたこのジュネーブの多国間軍縮フォーラム(加盟国:65カ国)でゼルボ事務局長は、「核爆発実験を世界的に禁止することは、核兵器の水平的拡散(他の国への拡散)と垂直的拡散(既存核兵器の改善)双方を防ぐために極めて重要です。」と語った。

ゼルボ事務局長は、「CTBTの前文において、加盟国は、核兵器のすべての実験的爆発及び他のすべての核爆発を停止することが、核軍備の縮小及びすべての側面における核不拡散のための効果的な借置となることを認識している。」と明記されている点を指摘した。

そうした措置に関して重要な役割を果たしている「国際監視制度(IMS)は、完成した際には、核爆発の証拠を世界全体で監視する337の施設から構成されることになる。CTBTOによると、施設の約9割が既に運用中であるという。

米国による2度目の拠出(2550万ドル)は、フランス領南方・南極地域における「水中音響施設「HA04」再建のためのもので、これによって水中音響施設のネットワークが完成した。

CTBTは、地上、大気圏内、水中および地下というあらゆる空間における核爆発実験を禁止しており、ほぼ普遍的なものであるが、既に22年も交渉が停滞し、未だに発効していない。

CTBTには、これまで米国を含む183カ国が署名を済ませ、うち166カ国が批准している。この中には、核兵器を保有するフランス・ロシア・英国の3カ国も含まれている。しかし、CTBTを発効させるには、核技術をもつ特定44カ国が条約を署名・批准しなくてはならない。

それらの中、中国・エジプト・インド・イラン・イスラエル・北朝鮮・パキスタン・米国がまだ批准を済ませていない。インド・北朝鮮・パキスタンは署名すらしていない。

2018年NPRは、未署名国に対して核実験を行わないように呼びかけ、米国は「核戦力の安全性と効果を確保するために必要であるとみなさないかぎり、核爆発実験を再開することはない」と明示している。しかし同時に、「厳しい技術的、あるいは地政学的な難題に対処するために必要とみなされるならば、核実験を再開する」準備があるとしている。

2018年NPRはまた、「核弾頭の設計・開発・初期生産に関して、決定から全面的な開発に至る時間を短縮する」ことを目指す、と述べている。ワシントンのシンクタンク「軍備管理協会(ACA)」は、2017年11月の米国家核安全保障局(NNSA)報告書によると、「単純な(核)実験」の準備期間を24~36カ月から6~10カ月に短縮しており、核実験をタブー視する世界的な規範(=自主的かつ一方的な停止措置に基づいて核実験を差し控えてきた規範)を損なっている、と指摘している。

ACAのダリル・キンボール会長とキングストン・ライフ軍縮・脅威削減政策部長によるブリーフィング・ペーパーは、「準備期間の短縮によって、米国が『単純な(核)実験』爆発を実施すると決定したならば、その準備は6~10カ月間で行われることになる」と述べている。

このブリーフィング・ペーパーはまた、「NNSAの報告書もNPRのいずれも『現在のところ地下核実験を行う必要性はない』と確認しているものの、政権がCTBTへの批准を性急に拒否したこと、NNSAが実験準備期間を短縮したことを考え合わせると、トランプ政権は、国際監視制度からのデータも含めてCTBTを利用しようとする一方で、核実験再開への扉は開けておきたい意向のようだ。」と述べている。

米国がCTBTに批准しない意向を表明するする一方で、CTBT発効に向けた取り組みは、国連加盟国の多数の支持を受けて続けられている。国連のアントニオ・グテーレス事務総長はジュネーブ軍縮会議で「包括的核実験禁止条約を速やかに発効させなくてはなりません。」と述べ、軍縮と軍備管理は、国連憲章で合意された安全保障のためのシステムの中核をなすと強調した。

グテーレス事務総長はその半年前、毎年8月29日と定められている「核実験に反対する国際デー」において、すべての国に対してCTBTの署名・批准を訴えた。

「過去70年の間に、南太平洋から北米、そして中央アジアから北アフリカに至る各地で、2000回を超える核実験が行われてきました。それによって、世界で最も弱い立場に置かれた人々や、手つかずの生態系の一部に被害が及んでいます。」と、グテーレス事務総長は語った。

CTBTOのゼルボ事務局長はジュネーブ軍縮会議で、CTBTは「最も手に届くところにある果実」であり、「核不拡散・軍縮に関する作業を前進させるためにとられる行動が成功するかどうかは、『始めたことを終わらせる』との国際社会の決意と政治的意志にかかっています。」と語った。

ゼルボ事務局長はまた、「つまり、CTBTを法的に発効させるために献身的で協調的な努力を行うこと、将来の世代に投資する数十億ドル規模の資金を確保すること、任務を完遂するために必要な他の軍縮条約のための堅固な基盤を確立して前進のためのプラットフォームを提供することを意味します。」と語った。

ゼルボ事務局長は、2020年のNPT運用検討会議を見据え、「よい成果を上げるには信用と信頼がカギとなることは明白です。既存の制度と法的文書を順守し、仕組みの内外において信用を構築していくための努力を払わねばなりません。すなわち、CTBTの発効がその不可欠の一部を成すNPTとその責任の仕組み全体を維持・確保していかなくてはなりません。」と語った。

ゼルボ事務局長はさらに、朝鮮半島情勢に触れて、「オリンピック精神が南北朝鮮の関係を好転させたかもしれません。対話に向けた道が開かれる可能性があり、CTBTはそうした対話の手段として役立つかもしれません。つまり、一国が単独で核実験モラトリアムを発し、それをCTBTの署名につなげていくことが、出発点となるだろう。」と語った。

アメリカ科学振興協会(AAAS)は、核実験禁止に向けたゼルボ事務局長の弛みない努力を称えて、2月16日にテキサス州オースティンで開かれた年次会合において2018年の「科学外交賞」を授与した。

AAASは、ゼルボ事務局長の授賞理由として、「科学的専門能力を活用しリーダーシップを発揮して難題に取り組み、世界平和を推進した。」と述べるとともに、「科学者や政策決定者、学者、市民社会の間の対話と交流を促し、多様なグループ間の共同作業を促進する類まれな能力を示してきた。」と説明した。(3.12.2018) INPS Japan/ IDN-InDepth News 

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