From Tlatelolco to the UN Nuclear Weapon Ban Treaty

|視点|トラテロルコ条約から核兵器禁止条約へ(ホルヘ・A・L・レチュガOPANAL研究・コミュニケーション責任者)

【メキシコIDN=ホルヘ・アルベルト・ロペス・レチュガ】

Photo: Commemorating the 51st anniversary of the Treaty of Tlatelolco on 14 February 2018. Credit: OPANAL2月2日、米国政府は、国家安全保障における核兵器の役割を拡大する戦略を盛り込んだ2018年の「核態勢見直し」(NPR)を発表した。今回のNPRでは、米国の核戦力を近代化するために費用を(現在の国防総省予算の)3%から6.4%にまで倍増する必要があるとしている。

これはつまり、今後30年間で1兆ドル以上の投資を意味する。また今回のNPRは、「低出力オプションをも含む柔軟な米国の核オプションを拡大することは、地域侵略に対する信頼性のある抑止力の維持にとって重要」であり、これは「核のハードル」を引き上げる戦略であると記している。

2018年NPRは、低出力の核兵器を含めることで、起こりうる攻撃(非核攻撃の場合も含む)に対する対応能力が強化され、「潜在的な敵対国が限定的な核のエスカレーションにより優位になりうると考えないよう保証するのを助け、核使用の可能性を低減する」としている。

問題は、低出力核兵器への依存が増す限り、その影響が「容認可能」なものとみなされるようになり、核兵器使用の可能性が増してしまうことにある。低出力核兵器は、1945年に使用された原子爆弾よりもはるかに強力なものだ。

今回のNPRは「2010年の NPR 以来、世界的な脅威の状況は明らかに悪化してきた。」と指摘している。また、「主要な通常兵器、化学、生物、核兵器、宇宙、サイバーの脅威および暴力的な非政府主体を含めて、これまでになかった範囲と種類の脅威が存在しており、この変化は増大する不確定性とリスクを生み出した。」そして、「それこそが、米国が政策と戦略を策定し、核戦力の持続と交代を開始した理由である。」と述べている。

「不確実性」のない世界を想像することは難しいことではない。しかし、それを実現することは不可能だ。実際には、不確実性のない世界を手にすることは、核兵器のない世界の実現よりも、現実性が薄い。

こうした「前例のない」21世紀型の脅威が存在するとすれば、20世紀型の戦略、とりわけ、人類を脅かす戦略に依存しながらそうした脅威に直面することは、ますます事態を悪化させることになるのではないか。もし私たちが、脅威や不確実性が増した世界に住んでいるとするのならば、そのような世界に核兵器があってはならない。誰が手にしているのであれ、核兵器の存在そのものが、核兵器保有国を含むすべての人々にとって、脅威となっているのだ。

核兵器の使用に関する仮定の中で、核兵器を保有する国々は、国家の存在がかかっている場合、とりわけ一般的には核攻撃の可能性に直面した場合、核兵器を使用する必要性に通常は言及することになる。しかし2018年のNPRはさらに多くのシナリオを盛り込み、核兵器使用をより容認可能なものにしている。

もちろん、問題は米国の核兵器に限られたものではない。他に核保有国は8カ国あり、米国の核戦力がその中で恐らく最強であるために、2018のNPRに対抗してこれらの国々が「核のオプション」を強化する方向に流れないとも限らない。

「核兵器なき世界」は望ましいが現時点では非現実的という考え方が、依然として存在する。しかし、中にはそうは考えない国々もある。

51年前の1967年2月14日、ラテンアメリカ・カリブ海地域諸国はこうした考え方に対抗して、ラテンアメリカ・カリブ海地域核兵器禁止条約(トラテロルコ条約)によって、同地域における核兵器の法的拘束力ある禁止を打ち立てた。2018年2月14日は、トラテロルコ条約の署名開放51周年にあたる。

トラテロルコ条約によってつくられたモデル(=非核兵器地帯)は成功をおさめ、他の4つの地域で模倣された。南太平洋(ラロトンガ条約)、東南アジア(バンコク条約)、アフリカ(ペリンダバ条約)、中央アジア(中央アジア非核兵器地帯条約)、モンゴル(同国の非核地帯化宣言は、国連総会決議55/33Sの採択という形で国際的に承認されている)である。今日、114カ国が、非核兵器地帯を設置した条約の加盟国・署名国になっている。

2017年7月7日、国連において、122カ国が核兵器禁止条約を採択し、すべての国家に対して署名開放された。いわゆる「核禁条約」は、とりわけ、「核兵器あるいはその他の核爆発装置の開発・実験・生産・製造・取得・保有・備蓄」を禁じている。さらに、「核兵器あるいはその他の核爆発装置の使用あるいは使用の威嚇」も禁じている。

核禁条約は、50カ国が批准すると発効する。2017年9月20日の署名開放以来、5カ国(ガイアナ、タイ、バチカン、メキシコ、キューバ)が批准を済ませている。少ない数に見えるかもしれないが、国連加盟国の63%にあたる122カ国が採択に賛成したという事実を覚えておいてほしい。つまり、世界の多数の国々が非核兵器世界を前進させるべきだと考えていると言えるだろう。

核保有国とその同盟国が核禁条約に反対しているのは驚くには当たらない。これらの国々は、核兵器を保有する国々の参加なしに核禁条約は効果的なものにならないと主張している。しかしそこで疑問が出てくる。もしこれらの国々が本当にそう考えているのなら、なぜそこまで熱心に反対したのだろうか? おそらくそれらの国々は、この条約が、彼らの主要な力の源泉(=核兵器)に悪の烙印を押すことに寄与すると認識しているのだろう。

2018年のNPRは、核禁条約は「国際安全保障環境の転換という前提条件抜きに核兵器の廃絶をまったく非現実的に期待する傾向によって炊き付けられた」と述べている。NPRですら核禁条約に言及したという事実そのものが、その意義を明らかにしているのだが。

核禁条約の支持者は、核兵器の廃絶に「国際安全保障環境の転換という前提条件」が必要だとの見方に同意しない。むしろ彼らは、核兵器の廃絶こそが国際安全保障の望ましい「転換」であると見なしている。

核禁条約でもって直ちに核兵器の廃絶がもたらされるわけではないことは明白だ。しかし、核兵器禁止が法的に定立される前に「核兵器なき世界」が達成されると考えるのも非現実的だ。核兵器の禁止に関する国際規範は、「核兵器の完全廃絶に向けた」必要なステップなのだ。

核兵器を非正当化するためにも核兵器を禁止する必要がある。かつて、生物兵器や化学兵器の場合もそうであった。核禁条約を支持するどの国も、条約自体が目的などとは言っていない。それはひとつの前進であって、最終ステージではないのだ。

トラテロルコ条約の交渉を成功に導いたアルフォンソ・ガルシア・ロブレス氏(1982年のノーベル平和賞受賞者)の言葉から、核禁条約の教訓をひとつ考えてみたい。「ラテンアメリカの条約で打ち立てられたシステムは、いかなる国も他国に対してそうした非核地帯への加盟を義務づけることはできないが、一方で、非核地帯への加盟を望む国々が、自国領土から核兵器を完全に追放する体制に従おうとするのを止めることもできない、ということを証明した。」

いかなる国も、国家主権の自由な行使として、人類を危機にさらす安全保障体制を拒否する決定を下そうとする他国の意思を妨げることはできない。トラテロルコ条約がそうした道への最初の成功のステップだとすれば、核兵器禁止条約はそれをさらに積み重ねるものだと言えよう。(2.17.2018) INPS Japan/ IDN-InDepth News 

ホルヘ・A・L・レチュガ氏は、ラテンアメリカ・カリブ海核兵器禁止機構(OPANAL)研究・コミュニケーション責任者。この記事における見解は、必ずしもOPANAL及びその加盟国の見解を反映したものではない。

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