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Transforming Risks on the Korean Peninsula into Stable Peace in Northeast Asia

朝鮮半島の危機を北東アジアの安定的平和へ

【東京IDN=浅霧勝浩】

Photo: Toda Institute Director Kevin P. Clements briefing media on the Colloquium. Credit: Kotoe Asagiri | IDN-INPS「北東アジアにおける平和の構築:朝鮮半島における危機管理とその転換」というテーマの国際会議が、地域の一触即発の状況を背景に、米国・中国・韓国・日本から東北アジア地域の平和と安全保障に関する専門家、政策立案者、市民社会の参加者が集まって開催された。

北朝鮮が「世界のどこにでも到達」できる大陸間弾道ミサイルの実験に成功したと主張する以前、1995年のノーベル平和賞受賞団体「科学と世界問題に関するパグウォッシュ会議」が2017年5月4日の声明で、「北朝鮮との対立の激化は、重大な危険性を高めている。」と懸念を示していた。

それから約9カ月後の2018年1月25日、象徴的な「世界終末時計」の針が30秒進められ真夜中まで残り2分となった。時計の針は、冷戦真っ只中の1953年以来、象徴的な世界滅亡の時間(=午前0時)まで最も近付いている。

こうした不安を感じさせる状況は、オタゴ大学国立平和紛争研究所(ニュージーランド)、戸田記念国際平和研究所(日本)、ノルウェー国際問題研究所(NUPI)が2月1日に共催した国際会議(第2回東京会議)の重要性をより増している。

第2回東京会議は、地政学的に不安定な状況に直面して、「危機や不確実性をもたらしている要因」を探求するとともに、「北朝鮮問題への外交や対話による対応を妨げている諸問題」を分析するものであった。さらに、「生存を危機にさらす核の脅威は、予防外交や交渉、協調的な問題解決の手法を通じて対処しうるかについても焦点があてられた。」

影響力のある学識者や政策立案者が、「北東アジアにおける安全保障の脅威への対処」と「朝鮮半島における危機管理 - 北朝鮮問題の打開」をテーマとした2つのパネルセッションにおいて、知見と知恵を共有した。

会議は「チャタム・ハウス・ルール」に則って行われたため、記者会見では、戸田記念国際平和研究所所長でオタゴ大学国立平和紛争研究所所長でもあるケビン・P・クレメンツ氏が、両セッションの概要を紹介した。

クレメンツ所長は、第一パネルでは、「北東アジアにおける緊張と問題一般について、いかに創造的かつ非暴力的に対応するかについて話し合われた。とりわけ、議論の俎上に上がっている多くの問題にとってきわめて重要な二国間関係である日中関係の改善についても焦点があてられた。」と語った。さらに、「紛争を非暴力的に管理するために必要な地域の安全保障枠組みについて検討がなされ、日中間、日韓間、南北朝鮮間でいかにして信頼と尊重を構築するかについて焦点がしぼられた。」と説明した。

クレメンツ所長はさらに、第二パネルでは、「北朝鮮の核の脅威と、これにいかにして『創造的かつ非暴力的に、そして軍事攻撃を伴わずに』対処するかということに焦点が絞られた。」と説明した。

パネリストらはまた、「南北朝鮮間、米朝間で俎上に上っているさまざまなオプションについて、米朝間で建設的な協議をいかに促進するかについて」検討し、「北朝鮮によって地域全体が直面している問題が創造的かつ国際的に対処しうるような環境の創出に向けて、北東アジアのすべての国々が協力できる方法」を追求した。

記者会見に加わった米国国務省のジョセフ・ユン北朝鮮担当特別代表は、北朝鮮が核戦力の増強を続ける傍らで、その戦略的・戦術的目標や真の意図はどこにあるのかという質問に対して、「北朝鮮の交渉相手が私に伝えてきているのは『(北朝鮮は)安全保障や経済的繁栄などを求めている。』という点です。」と語った。

スティムソンセンター東アジアプログラムの主任研究員であり、ブルッキングス研究所の客員研究員でもあるユン・スン氏は、この見方を支持し、「北朝鮮の希望は安全保障と経済的繁栄にあります。」と語った。

ユン特別代表は、「北朝鮮と交渉してくる中で、彼らの主な反論として、彼らが米国の『敵対政策』とみなすものを伝えてきました。私はその時の交渉に挑んで、米国の一貫した立場を説明しました。つまり、米国は北朝鮮の核武装化もその核兵器も認めないという立場です。」と語った。

ユン特別代表はまた、先制攻撃を米国政府が最終的に考えているとの憶測を否定して、「(軍事攻撃が)近づいているとは思っていません。我々には信憑性のある交渉が必要なのです。一方で、我々は、全てのオプションがテーブルの上にあると一貫して言ってきました。『全てのオプション』というのは、その中に軍事オプションも入れざるを得ません。」と語った。

米国政府による「全てのオプション」の追求は、北朝鮮の金正恩最高指導者に対して制限的な対北朝鮮先制打撃を意味する「鼻血戦略」と伴う目標であるとの厳しい意見記事を元ホワイトハウスの高官が『ワシントン・ポスト』紙に寄せているが、(外交優先を強調した)ユン特別代表の発言は、この記事が出てまもなくのタイミングでなされたものだった。

「危機に晒されているリスクの大きさを考えれば、米国人の犠牲と、朝鮮半島におけるより広範な戦争は取るべきリスクだと論じる者もいるかもしれない。」「しかし、軍事攻撃は(より大規模なものであったとしても)北朝鮮のミサイル・核開発を少し遅らせるにすぎないだろう。なぜならそうしたミサイル・核施設は、バンカーバスター爆弾によっても攻撃不能な未知の場所に地中深く隠されているからだ。」と、ジョージタウン大学教授で戦略国際問題研究所上級顧問のビクター・チャ博士は「ワシントン・ポスト紙」に記している。チャ教授は、一時は米国の次期中韓大使に指名されると目されていた人物だ。

一方、ユン北朝鮮担当特別代表は、米国政府の「平和的圧力」政策は、「対話のチャンネルを開けておく一方で、極めて強力な圧力をかけ続けるもの。」と主張したうえで、「米国は北朝鮮との意思疎通のチャンネルを確保している。」と語った。

ユン特別代表は、2月9日に始まった平昌オリンピックに北朝鮮が参加するのに合わせて南北朝鮮間で協議が行われることに言及して、「誰もが外交に成功してほしいと願っています。」と語った。米国政府もまた、北朝鮮が「侵略への準備」と見なしている韓国との合同軍事演習「フォール・イーグル」をオリンピック後まで延期することを決めている。

ユン特別代表はまた、外交は「狼煙で行うものではない」と警告し、北朝鮮は、米国が協議入りに同意できるように、挑発行為をやめると約束すべきだと語った。米国のドナルド・トランプ大統領は1月30日の一般教書演説で、北朝鮮の核兵器は近いうちに米国を脅かす可能性があるとの認識を示していた。

「こうした状況の下、圧力を最大化するために、すべての国が北朝鮮に対して可能な限り制裁を履行することが重要です。」と、ユン特別代表は指摘した。

中国は既に、石炭や鉄鉱石、消費財、繊維品の貿易に対して制裁をかけているが、米日両国は、北朝鮮経済に大きな影響力を持つ中国に対して、制裁を強化するようたびたび要請してきた。

ユン特別代表は、「中国は国連安保理決議を履行しているとは思います。しかし、もちろん、制裁に関しては、当局があずかり知らないところで密輸や貿易が横行しているという事実もあります。」と語った。

復旦大学(中国)の沈丁立教授と、同じく記者会見に登壇したスティムソンセンター(ワシントンDC)のユン・スン研究員は、「中国は北朝鮮に対する石油輸出を完全に断ってはいませんし、北朝鮮船舶に対する海上輸送阻止といった問題も解決していません。しかしこれらはいずれも安保理決議において未だ合意されていない内容だからです。」と指摘した。

同時に、第2回東京会議の参加者の間での一般的な見方は、一連の国連制裁決議は北朝鮮に対して効果をもたらしつつある、というものだった。これは、北朝鮮の金正恩最高指導者が平昌オリンピックに同国が出場すると申し出たことに示されている。この申し出は、韓国政府に対する和平の呼びかけだと広く見られている。また、北朝鮮の冬の軍事演習は、今回は小規模なものであった。

2017年に日本の沿岸に打ち上げられた北朝鮮の「幽霊船」が104隻に上り、35人の死者と42人の生存者を出したことは、漁船の管理の不備、燃料不足、遠くまで航海に出ようとする漁民の間に広がる絶望を示していると、第2回東京会議の参加者らは示唆した。

スティムソンセンターのユン・スン研究員は、オリンピックの後に膠着状態に陥りそうだと記者らに示唆した。「これは体制の正統性と国家の誇りの問題です。北朝鮮は信頼性のあるICBM(大陸間弾道ミサイル)能力の保有に近づいており、これを放棄することは現実問題として考えにくい。」と語った。(2.12.2018) INPS Japan/ IDN-InDepth News