Successful Test Firing of India's Agni-5 Evokes No Fury

|インド|ミサイル「アグニ5」発射成功も、「怒り」を呼び起こさず

【バンコクIDN=カリンガ・セネビラトネ】

Photo: India's longest range nuclear capable missile Agni-5 was successfully test fired from the Kalam Island off Odisha coast on January 18 by the Defence Research and Development Organisation (DRDO). Source: NDTVインドが、1月18日に、核兵器搭載可能の大陸間弾道ミサイル(ICBM)である「アグニ5」の発射実験に成功したことは、アジアではほとんど注目されなかった。しかし西側メディアは、インドがいまや北京や上海などの中国主要都市を射程に収めた点に着目して報道した。

一部に賞賛する傾向さえあったこの報道ぶりは、北朝鮮が同様のミサイル(火星15)を昨年11月29日未明に発射した際の西側メディアのヒステリックな対応と際立った対照を示している。北朝鮮のミサイル発射実験が世界の非核化への脅威と見なされる一方で、インドのそれはそうなっていない。

『ハフィントン・ポスト』のエリック・マーゴリス氏が指摘するように、「インド政府はICBM開発を宇宙開発計画のオブラートに包んで」おり、北朝鮮が衛星を軌道上に打ち上げようとした際、米国は、軌道上に衛星を置く能力のあるブースターは核弾頭を運搬することもできると「厳しく指摘」した。

「現在のところ、インドは米国の緊密な同盟国であり、核戦力の構築について米国やイスラエルの支援を得ている。米国政府は、インドの核不拡散条約(NPT)参加拒否に目をつぶり、インドの核戦力の拡張を中国に対する地域的な対抗バランスになりうるとして黙認している。」とマーゴリス氏は述べている。

中国はこのような見方に対して否定的な反応を示している。中国の華春瑩外務報道官は、前回の発射実験(2016年12月26日)の成功を受けて、核弾頭で中国の諸都市を攻撃できるミサイルの能力について扱ったインド内外の報道に反論を展開した。

『ヒンドゥスタン・タイムズ』によれば、華報道官は、「核兵器を搭載した弾道ミサイルをインドが開発しうるかについて国連安保理は明確に規制している。」と指摘したうえで、「中印両国は、互いを、競い合うライバルではなく、2つの重要な開発途上国であり新興経済国として協力パートナーと見なす点で、重要な合意に達しています。」と語った。

華報道官はさらに「関連するメディアに対しては、客観的かつ理性ある報道をし、中印両国の相互信頼と地域の平和と安定に資する活動をするよう要望したい。」と語った。

1月18日の弾道ミサイル「アグニ5」の発射実験の成功は、インド洋における日本との合同海軍演習の翌日のことであった。最近、インド・日本・米国・豪州は、中国封じ込めの一環として、軍隊間での協力を強化する防衛同盟を形成すると発表した。

中国の『グローバル・タイムズ(環球時報)』が最近掲載した論説は、インドメディアに対して、中国の脅威に関するインド軍関係者の厳しいコメントを煽るようなことは慎むべきだと呼びかけた。「2018年初頭以来、インド軍は時として、中国に対する厳しいコメントをしてきた。インド陸軍のビピン・ラワット参謀総長は先週、インドは中国国境に焦点を移すべきだと発言した。」「インドメディアは軍から得た情報を増幅させ、タカ派的な軍の発言を称賛し、中国がインドを侵犯し挑発しているかのような印象を捏造している。」と1月16日の論説は述べている。

「インド軍とメディアによる連係プレーによって、インド国民の中国に対する印象は悪くなっている」と『環球時報』は述べ、インド・中国・ブータン国境のドクラム高地で2017年ににらみ合いが起こった際に、「現状を維持する」としたインド外務省の見方と矛盾していると指摘した。

同論説は、非常に率直な評価をしている。「インド社会は、中国に関する見方の形成において、予算を拡大し同国の外交関係でより大きな影響力を得ようとしている軍の利己的な願望と、目立つ報道を追求する利益重視のメディアによって惑わされてきた。結果として、中国に対する強硬な姿勢はインドにおける『政治的正しさ』となり、インドは米国・日本・豪州の側に押し出されることになった。」

中国の報道によれば、中国の核専門家は「アグニ5」が核弾頭で中国の諸都市を攻撃する能力に疑問を呈す一方で、この実験が核不拡散条約に対する挑戦になっていると指摘している。

軍事専門家でテレビのコメンテーターでもあるソン・ジョンピン氏は、『環球時報』の取材に対して、インドの核能力と地域における軍事同盟の強化によって、インド軍が近いうちに「戦う軍隊」化するかもしれず、これが中国の野心的な「一帯一路」構想の妨げになるかもしれない、と論じている。

ソン氏は、インド洋は「一帯一路」にとって「不可欠な地域」であると同時に、海洋大国を目指す中国の国家戦略の一環でもあるから、中国はインド洋における軍事的・経済的プレゼンスを高めねばならないと述べている。

現在、ICBMによる攻撃能力を保持しているのは、米・露・仏・英・中の5カ国で、これらはいずれも国連安保理の常任理事国である。従って、マーゴリス氏はインドの実験についてまた別の理由を「インドがICBMを望んでいる最大の理由はおそらく、大国としての地位と、安保理における椅子だろう。」と指摘している。

西側はアジアを核武装化と軍事的対立の温床とみているかもしれないが、インドの弾道ミサイル「アグニ5」の発射実験に対するアジアでの報道の少なさは、核によって注目を集めようとするよりも経済協力の方が望ましいとの見方の反映だ。

韓国と北朝鮮が平昌冬季オリンピックを通じた対話路線による外交を展開しようとする中、これが地域における緊張緩和につながるかもしれないとの安堵感が広がっている。アジアのほとんどの人びとは、緊張状態は米国、とりわけドナルド・トランプ大統領によって永続化されていると考えている。

『ストレート・タイムズ』(シンガポール)のラヴィ・ベロール副編集長による論説はこうした雰囲気について、「(北朝鮮の)金(正恩)最高指導者は、恐るべき抑止力を自身に与えることが計算できる全面的な核開発計画の要諦を検討したのちに、こうした動きを起こした。」と論じている。

ベロール副編集長は、「金委員長の大胆さに憤るべきか、或いは彼の決意の強さに称賛を送るべきか決めるかねるところだが」と指摘したうえで、「平和協議への彼の呼びかけは、トレードマークとなった大胆不敵さと同居している。金委員長は、ソウルを標的にはしないと述べる一方で、米国は敵とみなすとして、韓国の同胞が深慮すべき微妙だが重要な区別の線を引いてみせた。」と論じた。

ベロール副編集長はまた、「金委員長は、無謀な狂人などではなく、タイミングに関する鋭い感覚と、状況を的確に測る理性を持った聡明な指揮者であると認識すべき時だろう。より大きな核のボタンを持った敵対者とは別の部類に属する人間だ。」とみなしている。

また、「イランとの核合意を破棄するとのトランプ氏の素質は、米国と同様の非核協議を持とうと計画しているあらゆる他の国々に再考を迫ることだろう。金委員長はおそらく、彼のブリーフィングペーパーを慎重に読んでいるにちがいない。そして、もっとも真摯な保証が尊重されないとしたら、それはどういうことになるのかを問う理性を持っているにちがいない。」とベロール副編集長は論じた。

識者は、米国の伝統的な同盟国であるシンガポールがトランプ大統領の核政策について懸念を感じていることを特筆している。実際、ベロール副編集長は、朝鮮半島の永続的平和は、米中間、そしておそらくは米ロ間での協調がなければ達成できないと指摘している。

しかし、中国政府もロシア政府も、1月16日までバンクーバーで行われたカナダ政府主催の北朝鮮関連協議に招かれていない。招かれたのは、50年以上前の朝鮮戦争時の当事者である西側の同盟国だけである。

「たしかに、解決を実際に妨げているのは冷戦の名残りだと考えている人々もいる。」とベロール副編集長は指摘する。「米国は朝鮮半島から核兵器を引き上げたと主張しているが、中国は、協議を通じてこの問題の解決策を見つけることに米国が真剣でないと考えている節がある。なぜなら、そうしてしまうと、中国の周辺に強力で性能の良い兵器を配備する言い訳が成り立たなくなるからだ。」と論じた。

さらにベロール副編集長は、金委員長が新年の演説において、「韓国人とは同じ血を分かちあった同胞であり、この慶事を共に喜び、彼らを助けるのは当然のことだ。」と述べ、平昌冬季オリンピックの開催を称賛し、すべての朝鮮人にとっての重大なイベントだとして歓迎した点を指摘した。(1.21.2018) INPS Japan/ IDN-InDepth News 

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