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A Dark Shadow Looms Large Over UN Talks On Abolishing Nukes – Japanese

核兵器禁止条約交渉に暗雲立ち込める

【ワシントンDC・IDN=ロドニー・レイノルズ】

Montage of an inert test of a United States Trident SLBM (submarine launched ballistic missile), from submerged to the terminal, or re-entry phase, of the multiple independently targetable reentry vehicles. Credit: Wikimedia Commons.193カ国で構成される国連総会が2つの重要な会期(3月、6月~7月の計20日間)からなる会議を開催する。それは、世界的な核兵器の廃絶に向けた、一か八かの賭けとなることだろう。

ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)軍縮・軍備管理・不拡散プログラムの責任者タリク・ラウフ氏は、「2017年が、核兵器が禁止される年になるのか、それとも、それを実現しようとする動きがある種の『フェイクニュース』とされてしまうのかは、まだわからない。」と、やや懐疑的だ。

 来たる総会会期に垂れ込めている暗雲は、ドナルド・トランプ米大統領の存在である。トランプ大統領の指は危険にも7000発以上の核兵器の引き金にかけられており、核軍縮に関する彼の見解は、拡散から既存の核戦力の強化に至るまで、常に一貫性を欠いている。

3月27日~31日と6月15日~7月7日(この間に15日間)に予定されている2回の会期の目的は、「核兵器を禁止し、完全廃絶につながるような法的拘束力のある措置(=核兵器禁止条約)」について交渉することである。

しかし、これはどの程度現実的で、実現可能なのだろうか? とりわけ、米国・英国・フランス・ロシアなど主要な核保有国からは強い反発を引き起こすことが予想されている。これらの国々は、会議を脱線させ、非核兵器国の間に混乱を引きおこそうとして、背後で動き回っているとされる。

ラウフ氏は、IDNの取材に対して、「あらゆる兆候から言えることは、参加予定の非核兵器国の間の根深い見解の対立を背景に、交渉は困難なものになるだろう。」と語った。

「会議に参加するかもしれない北大西洋条約機構(NATO)と[核保有国と]同盟関係にある非核保有国は、核保有国に成り代わって会議を妨害し議論を複雑にすることでしょう。」とライフ氏は警告した。

「また、核兵器を禁止する条約を確立する素早い規範定立を望む非核保有国と、検証に関する条項を含めたより詳細な条約を望む非核保有国との間にも、別の分断線が引かれているかもしれません。」とラウフ氏は指摘した。ラウフ氏はかつて、国際原子力機関(IAEA)で核の検証・安全保障政策調整部門のトップを務めた経験がある。

ラウフ氏は、「(きたる会議では)市民社会の参加が核兵器に関する多国間条約交渉において初めて顕著な特徴となる可能性がありますが、一方で一部の国々が、市民社会の影響力行使や関与を抑えつけようとする兆候を見せています。」と語った。

核政策法律家委員会(LCNP)のジョン・バローズ代表は、IDNの取材に対して、「国連本部で2月16日に開催され、100カ国以上が参加した準備会合から判断すると、『核兵器を禁止し、完全廃絶につながるような条約』、すなわち核兵器禁止条約の交渉に向けてかなりの推進力が生まれています。」と語った。

バローズ氏はまた、「このプロセスは、核軍縮を誠実に交渉するという核不拡散条約(NPT)上の義務と、国連総会が最初に採択した決議に従って核軍縮に関して迅速かつ力強く前進することを核保有国が拒否していることに、ほとんどの非核保有国からの不満が高まる中から生まれてきたものです。」と指摘するとともに、「ここ数年の間、米国、英国、フランス、ロシア、その他すべての核兵器国が、このプロセスに反対を表明してきました。これらの国々と、米国と軍事同盟を組むほとんどの国々は[核禁止条約交渉会議には]参加しないでしょう。」と語った。

「しかし、興味深いことに、中国とインドはいずれも準備会合に参加し、明らかに本交渉にも参加しそうです。両国が最初から核兵器禁条約に参加することはなさそうだが、核軍縮の多国間交渉にコミットしているという姿勢を見せたいのでしょう。」

国際反核法律家協会(IALANA)国連事務所の所長でもあるバローズ氏は、「オランダもまた準備会合に参加しており、報道によると、準備会合には参加しなかった日本も本交渉に参加するかどうか検討中です。」と語った。

ラウフ氏はIDNの取材に対して、「非核保有国の大多数によるこの動きは、核保有国との間だけではなく、非核保有国の内部でも顕著な差異を明るみに出すことになりました。」と語った。

NATOや米国の太平洋地域における同盟国などの核に依存する同盟国、それに加えてロシアは、核兵器を禁止する多国間条約のいかなる交渉にも強く反対する一方、「ステップ・バイ・ステップ」や「段階的」アプローチなどの言葉を、何の定義もなく、時限も設定せずに使うことで、「核兵器なき世界」の達成という目標に一応のリップサービスをした形にはなっている。

3次にわたって開かれた「核兵器の人道的影響に関する国際会議」(2013年のオスロ、2014年のナヤリット、2015年のウィーン)は、核兵器の存在によって人類にもたらされている脅威と、核爆発による壊滅的な人間への影響に対する深い懸念に世界的な関心を呼び寄せることになった。

非核保有国の多数は、こうしたリスクに鑑みて、核兵器なき世界の達成に向けたすべての国家による緊急行動の必要性を強調し、核軍縮に向けた今日までの進展はきわめて緩慢なものであると指摘してきた。

「これらの国々はまた、NPTは核兵器国に軍縮の義務を課しているが、条約の約50年の歴史の中でこの義務は果たされておらず、これから果たされる兆しもないことを強調しました。」とラウフ氏は語った。

これらの国々はまた、核兵器の禁止・廃絶に関しては法的な欠落が存在すると指摘してきた。なぜなら、核軍縮に関しては、生物兵器禁止条約化学兵器禁止条約のような条約が存在しないからだ。両条約は、生物兵器と化学兵器をそれぞれ禁止し、その完全廃棄を義務づけている。

これに従って、これらの国々は、核兵器なき世界の追求に向けて4つの別々のアプローチを提唱している。すなわち、包括的な核兵器禁止条約、禁止先行型の核兵器禁止条約、枠組み協定型、「ビルディング・ブロック(ブロック積み上げ方式)」を基礎とした漸進的なアプローチの4つである。

他方で、一部のNATO諸国は、そうした法的欠落は存在せず、NPTが核軍縮追求のための本質的な基盤を提供していると反論している。

これらの国々は、「国際的な安全保障環境、現在の地政学的な状況、既存の安全保障ドクトリンにおける核兵器の役割が、核軍縮の効果的措置の追求にあたって考慮に入れられねばならない。」と指摘したうえで、「その点で、核兵器禁止条約は、国家安全保障に資するものではない。」と論じている。

これらの国々はまた、核兵器禁止条約は、NPTの履行に関して混乱を生み出し、NPTの核軍縮義務の達成を難しくする、と主張している。

「実際は、核兵器禁止条約はNPTに影響を与えることはないだろう。」とラウフ氏は見ている。NPTの加盟国はいずれにせよNPTに制約され、その完全履行の義務を負っているからだ。

核兵器禁止条約は、NPTを超えて、核兵器の保有やその配備(例えば、NATOの下で米国の核を配備しているベルギー・イタリア・オランダ・トルコや、かつての日本や韓国等、外国への配備も含む。)までも禁止するものだ。

「大気圏、宇宙空間、水中での核実験を禁じた1963年の部分的核実験禁止条約が、あらゆる核爆発実験を禁じた1996年の包括的核実験禁止条約と矛盾しないのと同様に、1968年のNPTも核兵器禁止条約と矛盾することはありません。」とラウフ氏は語った。

バローズ氏は、「現在想定されている核兵器禁止条約は、核兵器の保有および使用を禁止するが、検証を伴った核兵器の解体や「核兵器なき世界」のガバナンスに関する詳細な条項を含んだものにならないだろう。」と語った。

背後にある考え方は、核保有国の参加なしに、そうした国々に直接関係ある問題を交渉しても意味はなく、核保有国の専門能力や見解、コミットメントが、問題を満足いく形で解決するには必要だ、というものだ。

「このアプローチにおける禁止条約は、核兵器の不使用に関する既存の規範を強化し、戦時の行動を規定している国際人道法と核兵器使用を両立不可能にするように法定化するものとなる。また、NPTと各地域の非核兵器地帯の下での核兵器の取得禁止に関する既存の規範も強化されることになるだろう。」とバローズは付け加えた。

バローズ氏は、「核兵器禁止条約はまた、非核兵器地帯を確立する諸条約を基盤とし、ある意味ではそれらを統合するものでもあります。」と語った、非核兵器地帯として史上初めてラテンアメリカ・カリブ海地域に確立したトラテロルコ条約は、2月14日にメキシコシティにおいて50周年を祝った。

「核兵器禁止条約の重要性は、とりわけ政治的な側面にあると言った方がよいかもしれません。なぜなら同条約は、核兵器に関する現状は受け容れがたく、核兵器は二度と使用されてはならず、NPTと国連の文脈、とりわけ1978年の国連軍縮特別総会でなされた核軍縮の約束を果たすうえでこれ以上の遅れは許されないという、強力で明確な意思表明となるからです。」

「しかし、条約の内容次第では、特定の法的帰結も考えられます。」とバローズ氏は指摘した。

たとえば、核兵器への資金提供が禁止されれば、核兵器を製造する企業への投資に相当の影響を与えるかもしれません。また、核兵器禁止条約に参加する国にとっては、条約の非締約国による核兵器使用の準備にいかなる形でも支援・協力することが禁止されるかもしれません。」とバローズ氏は語った。(2.25.2017) INPS Japan/ IDN-InDepth News

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