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Missile Defence Plans Threaten to Trigger Arms Race

軍拡競争を引き起こしかねないミサイル防衛

Photo: The U.S. Navy Arleigh Burke-class guided-missile destroyer USS Donald Cook (DDG 75) fires a Standard Missile-3 during exercise Formidable Shield 2017 over the Atlantic Ocean, Oct. 15, 2017. Credit: U.S. Navy.【トロント/ワシントンIDN=J・C・スレシュ】

トランプ大統領が遺したものを見ると、暗い気持ちになってくる。ジョー・バイデン次期大統領と政権移行チームは数多くの重要な決定に直面している。軍事政策の専門家らは、新政権が直面している重要な決定の一つは「長距離弾道ミサイルを撃墜可能な新型の海上発射ミサイルでミサイル防衛体制の強化を図るトランプ時代の計画を前進させるべきかどうかと、どのように進めるのか」という点にあるとみている。しかしこの計画は間違いなく、軍備管理の進展を妨げることになるだろう。

核保有国を念頭に置いた戦略的ミサイル防衛には効果がないどころか、そのミサイル防衛を乗りこえ、掻い潜るためのより強力なミサイルシステムの開発を招きかねないと核戦略家たちは考えてきた、と ワシントンのアドボカシー団体「軍備管理協会」のダリル・キンボール会長は語る。

11月16日に実験に成功したイージス艦搭載迎撃ミサイル「SM3ブロック2A」は、短期的に見れば北朝鮮から発射される弾道ミサイルの防衛に役立つかもしれない。しかしこれにより、ロシアや中国は、米国からのミサイル攻撃に備えて自国の核戦力をさらに強化する必要性を痛感することになる、と専門家らはみている。

かつて米ロ両政府は、高価で安定を脅かすミサイル開発競争を防ぐために、1972年に締結したABM条約で、戦略的迎撃ミサイルを100基以下に制限する合意をした。この上限にそって、核兵器を保有する敵国からの攻撃があった際に、限定的な数の迎撃ミサイルを配備できるようになっていた。

米国の政策決定者らは、2002年にABM条約から脱退して以来、「ならず者」国家からの限定的なミサイルの脅威に対抗するための能力強化に力を注いできた。しかし、米国防総省は、地上型中距離防衛システムの一環としてカリフォルニア州とハワイ州に44基の迎撃ミサイルを配備したのみである。

他方で、北朝鮮は近年、弾道ミサイル能力を強化し、米議会は、新技術を開発・取得・実験・研究するためにミサイル防衛局に数十億ドルを投資してきた。2019年、トランプ政権の『ミサイル防衛見直し』は、「ならず者」国家の脅威から米国を防衛するために本土防衛能力を強化すべきと勧告した。

トランプ大統領は「我々の目標は、 いかなる場所からいつ米国にミサイルが発射されても感知し、破壊することを確実にすることだ。」と語った。このシステムは、陸上発射の大陸間弾道ミサイル(ICBM)でも、海上発射ミサイルや大陸間ミサイル、地対空ミサイルでも迎撃可能なものになるだろう。

11月16日、ミサイル防衛局は、飛翔してくる大陸間弾道ミサイル(ICBM)に対して、イージス艦搭載迎撃ミサイル「SM3ブロック2A」による迎撃実験をおこなった。国防総省の現在の計画では、2030年までに世界各地の陸上と海上両方で1000基のミサイル防衛システムを構築・配備するというものだ。

ICBMと地対空ミサイルの迎撃能力を強化するために1億8000万ドル近い予算が割り当てられている。もし採用されれば、このアプローチは、北朝鮮やロシア、中国、イラン、その他の「ならず者国家」やその弾道ミサイルの脅威に対する防衛における重要な一歩となることだろう。

キンボール会長は、こうしたことを念頭に、バイデン政権は、その第一歩として、米国の本土ミサイル防衛能力は、ロシアや中国のより高度なミサイル能力を対象としたものではなく、第三者の脅威から防衛するためのものであることを明確にすべきだと述べている。

「しかし、そう明確にするだけでは不十分だ」とキンボール会長は記している。それは、ロシア政府が、自らが攻撃用核兵器をさらに削減する見返りとして、米国のミサイル防衛に制限をかけることを要求しており、水中魚雷や超音速滑空機、原子力推進巡航ミサイルといった大陸間を横断する新たな核運搬システムの開発は、米国のミサイル防衛を打ち破るためのものだと主張しているからだ。

中国はすでに、複数の弾頭を搭載したサイロ収納のICBMの数を増やすなどして、核による打撃能力を強化し、米国のミサイル防衛能力に対処し始めている。

キンボール会長は、「ロシアの核兵器にさらに制約をかけ、中国を軍備管理プロセスに参加させようとする米国の試みは、米国が『SM3ブロック2A』などの自身の長射程ミサイル防衛能力について真摯に議論することを認めなければ、推進力を得ることはないだろう。」と指摘したうえで、「北朝鮮やイランからの限定的な弾道ミサイル攻撃に対して十分なミサイル防衛を展開することと、そうした防衛の量や場所、能力に制限をかけることに同意することが、相互に矛盾するものであってはならない。」と警告した。

しかし、バイデン政権がそうした方向に進むためには、米国のミサイル防衛に対するいかなる制約も認めないとする単純な考えから離れることが必要だ。

20年前、当時は上院議員だったバイデン氏は「地域の安定性を強化する戦域ミサイル防衛」の開発を支持する一方で、「ロシアや中国から脅威と見られてしまう」戦略ミサイル防衛システムには反対の立場だった。いまや、大統領になろうとしているバイデン氏は、バランスの取れたミサイル防衛戦略を採用する責任を負っているのである。(12.04.2020) INPS Japan/ IDN-InDepth News

 

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