Nuclear Abolition News and Analysis

Reporting the underreported threat of nuclear weapens and efforts by those striving for a nuclear free world.
A project of The Non-Profit International Press Syndicate Group with IDN as flagship agency in partnership with Soka Gakkai International in consultative
status with ECOSOC.

logo_idn_top
logo_sgi_top

Watch out for our new project website https://www.nuclear-abolition.com/

About us

TOWARD A NUCLEAR FREE WORLD was first launched in 2009 with a view to raising and strengthening public awareness of the urgent need for non-proliferation and ushering in a world free of nuclear weapons. Read more

IDN Global News

UN High-Level Meeting Reflects Broad Support for Total Nuclear Disarmament

|国連ハイレベル会合|完全核軍縮への支持、続々と

Photo: María Fernanda Espinosa Garcés (centre right), President of the 73rd session of the General Assembly, listens as Secretary-General António Guterres (centre left) addresses the high-level plenary meeting to commemorate and promote the International Day for the Total Elimination of Nuclear Weapons (26 September). At left is Izumi Nakamitsu, Under-Secretary-General and High Representative for Disarmament Affairs (ODA). UN Photo/Ariana Lindquist【ニューヨークIDN=サントー・D・バネルジー】

国際連合は、1946年の総会決議第1号以来、核軍縮という目標を追求してきた。しかし、国連は2013年、核兵器を保有する国々が潤沢な資金と核戦力近代化の長期計画を持っているとの認識の下、9月26日を「核兵器の完全廃絶のための国際デー」と定めた。

国連総会は、世界の安全保障環境が悪化する中、核兵器のない世界という目標達成に向けた国際的取り組みを動員するため、9月26日にニューヨークの国連本部でハイレベル総会を招集した。

 

この日、50カ国以上の元首や高官、それにオブザーバー国家や市民社会が集い、核兵器がいかに人類を危険に晒しているかについて焦点を当てた。大国による既存の核戦力近代化から、危険な核技術がテロリストの手に落ちるリスクまで、実にさまざまな危険がある。

核兵器なき世界を追求する情熱的で粘り強い声をあげたひとりが「世界未来評議会」の青年大使ケカシャン・バス氏(18)である。

「わたしは、1隻あたり40億ドルも掛かるトライデント型潜水艦が工場で製造される一方で、途上国では貧困のために毎日8万人の子どもが亡くなっている世界で育ちました。

こうした子供たちのほとんどが、トライデント型潜水艦1隻のコストの10分の1にも満たない資金で命を救うことになる食料や医薬品を手にすることができるのです。」とバス氏は語った。

バス氏は、貧困削減と環境保護に関して具体的なプログラムを提示した「持続可能な開発目標」(2015年採択)に対して総会の関心を向けた。

バス氏は「しかし、各国政府は、SDGsの達成よりも、核兵器を含む軍事費に多くの資金を費やし、前進を妨げています。」と嘆くとともに、「多くの国々にとっては、核兵器は安全保障上の安心感をもたらし、戦争予防に役割があるとみなされているのです。」と指摘した。

「しかし、私たち人類は、教養と知性を備えた文明社会を築きあげたのではなかったのでしょうか。私たちは、文明そのものを破壊する(核兵器による)脅迫に訴えなくとも、紛争を解決し、暴力を予防し、法を執行する術を知っているはずです。」とバス氏は付け加えた。

さらに、「より安全で、より公正で、より平等な世界を目指して」と題し、2017年のノーベル平和賞受賞団体「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」を代表して登壇した、リーチング・クリティカル・ウィルのレイ・アチソン氏は、「私たちにとって、核兵器廃絶は暴力の予防と平和の促進を意味します。」と宣言した。

「これ(=核廃絶)は夢に過ぎないという人もいます。私たちは不確実で変化が激しい時代に生きているから、核兵器を今廃絶するなどできないし、またそうすべきでもない、という主張です。しかし、不確実さや変化がない時代など、はたしてあるでしょうか?常に不確実で変化しているのが世の中ではないでしょうか。」とアチソン氏は指摘した。

「保健や住宅、食料安全保障、環境悪化の危機に際してお互いに助け合うのではなく、互いに殺しあう新しい方法を開発するためにより多くの資金を使う時代に私たちが生きているというのが現実です。また、73年が経過しても、依然として原爆の壊滅的な脅威の下に生きているというののも現実です。本来ならば、私たち人類はこれまでにこれらの問題を解決しておくべきでした。」

アチソン氏は、この方向に進むために、各国と活動家に対して、彼等の重要な活動を継続するよう呼びかけた。そして、核兵器が違法化され、理性のある国がとれる唯一の道は、核兵器を拒絶し、全廃し、核兵器禁止条約に署名するという、世界の新しい現実が生まれつつあることを指摘した。

グテーレス国連事務総長は、この日の議論の開会発言で、「核兵器の脅威をなくす唯一の確実な方法は、それ自体を全廃することだ。」と述べた。広島に続いて1945年8月9日に世界で2度目の核攻撃を受けた日本の都市・長崎をこの8月に訪問したことが影響を与えているのは明らかだった。残念なことに世界の安全保障環境は悪化しており、「核軍縮における進展はより困難になるととともに、より一層重要になってきています。」と発言した。

グテーレス事務総長は、自身が5月に発表した軍縮アジェンダに改めて言及し、合計で1万3800発にも及ぶ世界最大の核戦力を保有している米国とロシア連邦に対して、新戦略兵器削減・制限条約(START)を5年間延長し、核戦力のさらなる削減につながる交渉を開始するよう訴えた。また、中距離核戦力全廃条約をめぐる対立を打開するよう求めた。

「核兵器を持つすべての国が核使用を忌避する規範を強化することが、同様に重要です。」とグテーレス事務総長は述べ、実質ともに核不拡散義務を果たす諸国の責任を強調した。

軍縮と不拡散は同じコインの両面であること(「片方で後退があれば、他方での後退につながる」)とグテーレス事務総長は指摘し、あらゆる国が核兵器国と協力して核兵器廃絶への共通の道へと戻るべきだと述べた。

国連総会の現議長であるマリア・フェルナンダ・エスピノサ・ガルーセ(エクアドル)氏は、会合の開会にあたり、核兵器の廃絶は「おそらく、現代にあって我々の生存を揺るがす最大の課題だ」と述べた。国連は核廃絶という課題を優先しつづけるべきであり、人類の生存そのものが、核兵器の使用を禁止する国際社会の合意にかかっていると強調した。

エスピノサ議長は、2017年7月の核兵器禁止条約(核禁条約)の採択に言及し、一部の国連加盟国が依然として同条約に反対している、と述べた。しかし、核禁条約は引き続き署名開放されており、50カ国の批准によって発効することから、この9月26日の議論によって反対している国々の意見が揺らぐことを望んでいる、と語った。

ブラジルのアロイジオ・ヌネス・フェへイラ外相は、核兵器は冷戦の遺産であると述べ、警戒態勢にある核弾頭に関する懸念を表明した。それは、たんにボタン一つ押すだけで予測不能な規模で大惨事が引きおこされるからだ。専門家によれば、実に1800発もの戦略核弾頭が、陸上および海上の弾道ミサイルで警戒態勢にあり、命令を受けて5~15分で発射可能な状態にある。

フェへイラ外相は、2020年核不拡散条約(NPT)運用検討会議で目に見える成果を出すことを求め、「核兵器の完全廃絶のための国際デー」にあたってラテンアメリカ・カリブ核兵器禁止条約の加盟国が発した宣言で、核兵器はいかなる状況下においても、誰によっても使用されてはならないと訴えたことを指摘した。

イランのモハンマド・ジャヴァード・ザリーフ外相は、米国大統領は「核保有国の中で一番」の地位を保ち続けるためにさらなる核兵器を要求しており、世界は新たな核軍拡競争に直面している、と述べた。そのことと、核保有国による核戦力近代化は国際の安全と平和を脅かしており、非核兵器国の不満を強めている。

核不拡散条約が普遍的に遵守されるようあらゆる努力がなされるべきだと主張したザリーフ外相は、イスラエルはNPTの未加盟国であり、その核政策は国際の平和と安全に対する「最大の脅威であり続けている」と強調した。「合同包括的行動計画」(JCPOA)に関しては、国際原子力機関(IAEA)の報告書がイランの完全順守を確認しつづけている、と述べた。

フィジーのジョサイア・ヴォレンゲ・バイニマラマ首相は、他の太平洋地域の指導者らの見解を代表して、第二次世界大戦以来、同地域で実施されてきた300回以上の核実験が人間や環境に与えた被害を強調した。遠方の大国は、太平洋は核爆発実験をやっても安全な場所だと考えていたのである。

これらの国々は、核実験がどんな影響を与えるか理解しており、だからこそ、ほとんど誰も住んでいないと考えられた世界の片隅を選んだ。「しかし、実際はそうではなかった。」多くの人々が家を追われ、数十年経っても、太平洋の多くの地域が人間の居住や漁業、農業をするには安全でない場所のままになっている、とバイニマラマ首相は指摘した。

マーシャル諸島のジョン・シルク外相は、原爆に関する同国の暗い歴史について触れ、核実験を停止すべきとの同国による国連への要求は聞き入れられなかったと強調した。

実際、米国は核開発をやめることはなく、1946年から58年の間にマーシャル諸島で計67回の核実験を行った。現在まで引きずっている重大な健康上の問題がこうして引き起こされた。シルク外相は、核実験が公式に禁止され、核兵器国が世界から核兵器を除去する禁止条約に加わるべきとの希望を述べた。

日本外務省の吉田朋之軍縮不拡散・科学部長もこれに同調し、国際社会の共通目標にも関わらず、世界には依然として1万5000発以上の核兵器が存在することに遺憾の意を表明した。

吉田部長は、核保有国を含めたすべての国家に対して、透明性を向上し、協力と協調を通じた核軍縮を前進させるための双方向的な議論を続けるよう求め、非核化をめぐる米朝会談を含む最近の情勢に焦点を当てた。

吉田部長は、「唯一の戦争被爆国として、日本は、核兵器国と非核兵器国との協力を基盤とした実際的、具体的措置を構築する努力を重ねてきた。他方で、核兵器の使用が人間に及ぼす影響の側面にも明確な注意を払ってきた。」と述べるとともに、被爆の実相を世界に伝えようとする被爆者と市民社会の長年にわたる努力に敬意を表した。

マダガスカルのエロワ・アルフォンス・マクシム・ドゥヴ外相は、アフリカ諸国を代表して、核禁条約はNPTを損なうものではなく、むしろNPTを基礎として、不拡散体制を完全なものにし、補完し、強化するものであると述べた。ドゥヴ外相は、全ての加盟国、とりわけ核兵器国といわゆる「核の傘」に依存する国々に対して、核禁条約に署名・批准するよう求めた。

自国の核削減に関する核兵器国のペースのあまりの遅さに対するアフリカ諸国の深い懸念を伝えたドゥヴ外相は、中東における非核兵器地帯の早期確立を訴えた。また、核兵器使用が人間に及ぼす帰結に関するアフリカ諸国の懸念を表明し、すべての国々に対して、健康や環境、死活的な経済資源に対する影響を考慮に入れるよう求めた。

国連中国政府代表部のスン・レイ公使は、中国は常に核兵器の完全禁止と廃棄を訴え続け、非核兵器国と非核兵器地帯に対して先制的に核兵器を使用したり、核使用の威嚇をしたりすることはないと公約してきた、と述べた。ジュネーブ軍縮会議が核不拡散・軍縮交渉の唯一の場であることを強調して、スン・レイ大使は、核兵器なき世界に向けた実践的かつ漸進的なアプローチを要求した。

非同盟運動諸国を代表して発言したベネズエラのホルヘ・アレアサ・モンツェラート外相は、これまでの進展を再検討するための核軍縮に関するハイレベル会議を招集する必要があると強調した。核兵器が存在しつづける限りその使用のリスクは消えない。モンツェラート外相は、「あらゆる核兵器の存在は国連憲章違反であり、人道に対する罪である。」と指摘したうえで、核兵器の使用は人間に対して壊滅的な被害をもたらすであろうと述べた。

核兵器国による核削減の進展がないことに対する非同盟諸国の深い憂慮を伝えたモンツェラート外相は、核兵器の全廃に向けた明確かつ体系的な行動と、中東における非核兵器地帯の即時の履行を求めた。

モンツェラート外相は、多国間主義は軍縮の根本原則であると述べ、既存核戦力の近代化や新型兵器の製造、米国による核ドクトリン見直しへの懸念を表明した。

非同盟運動の立場で発言したインドのヴィジェイ・ケシャブ・ゴカール外相は、軍縮の目標は合意された多国間枠組みの中での漸進的なプロセスを通じてのみ達成されると強調した。

ゴカール外相は、意義ある対話の必要性を強調し、ジュネーブ軍縮会議が、化学兵器禁止条約と同様の線での包括的な核兵器禁止条約を交渉する唯一の適切な場であるが、作業内容に合意できない同会議の状況については認識している、と述べた。また、インドは核分裂性物質生産禁止条約に関する同会議での交渉を支持しているとも発言した。

同じく非同盟運動の立場で発言したサウジアラビアのアブダラ・Y・アルムアリーミ氏は、ある地域で大量破壊兵器が廃絶された時にのみ、その地域は平和で安全になったということができると述べた。そのためには諸国間での対話と協力が必要であるが、残念ながら、イスラエルが中東非核兵器地帯の創設を妨害している、と述べた。

オーストリアのセバスチャン・クルツ首相は、核禁条約策定における同国の主導的な役割について強調し、核兵器の危険は以前よりも増していると述べた。冷戦終結以来、核兵器が人類に対してもたらす脅威への認識は弱まってきた、とクルツ首相は嘆いた。

「しかし核兵器はなくなっていない。核戦力の近代化に加え、核兵器はより『使える』兵器になってきている。」とクルツ首相は述べた。核兵器なき世界が、より好ましく、より安全な世界であることは衆目の一致するところであり、核禁条約は、ほとんどの国家が現状のあり方を拒絶しているとの強力なメッセージを送っていると述べた。

南アフリカ共和国のドク・マシャベーン国際平和・安全大臣は、軍縮や不拡散、核兵器の世界からの廃絶は、同国が1994年の初の民主選挙以来支持してきた政策である、と述べた。

南アフリカ共和国の経験は、核兵器の保有・追求のいずれも国際の平和と安全を高めない、ということであった。「共通の脅威は、強化された国際協力と、集団的な安全保障上の懸念に応える強力な機関を通じてのみ効果的に対処しうる」とマシャベーン大臣は述べ、南アフリカ共和国は間もなく核禁条約を批准することになるだろう、と付け加えた。(9.30.2018) INPS Japan/ IDN-InDepth News 

Search

Newsletter

Report & Newsletter

Toward a World Without Nuclear Weapons 2022

Scroll to Top