Nuclear Abolition News and Analysis

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Doomsday Clock Warning Makes UN High Level Conference Even More Important

「世界終末時計」の警告受け、国連ハイレベル会議の重要性増す

【ニューヨークIDN=アラン・ウェア】

Photo: António Guterres, United Nations Secretary-General, at the Security Council meeting on Non-proliferation/Democratic People's Republic of Korea on December 15, 2017. Credit: UN Photo/Manuel Elias.米国の科学誌『原子科学者紀要』(Bulletin of the Atomic Scientists)が1月25日、「世界終末時計」(地球滅亡の時間を午前0時として、地球最後までの時間を示す時計)の針を30秒進め残り2分とした。事故や計算違い、意図的使用による核戦争の脅威が警戒すべき段階まで達していること、気候変動が回避できていないことを示した形だ。

『紀要』は、「双方における誇張されたレトリックと挑発的な行動」など、米朝間の核の威嚇に焦点を当てた。また、「米国のリーダーシップの低下と、それに関連したトランプ政権下における外交の停滞」を嘆いた。

『紀要』は、全ての核保有国が関与する数多くの未解決紛争と高まる緊張への深い懸念を示した。そして、増加する大気中のCO2が気候に及ぼす壊滅的な帰結を予防するためにCO2排出を抑制することを国際社会が怠っていると訴えかけた。

『紀要』は「時計を巻き戻し」、核戦争や壊滅的な気候変動により文明が崩壊することを防ぐために諸政府が取れる行動を提示した。しかし、そうした行動は、十分な政治的推進力がなければ起こらない。これこそが、来たる「核軍縮に関する国連ハイレベル会議」がきわめて重要となる理由だ。

核軍縮に関する国連ハイレベル会議

国連で5月14日から16日の日程で開催される予定のこの会議には、国連加盟国のほとんどから世界的指導者らが集う予定だ。彼らは、核のホロコースト(大虐殺)が起こるリスクを減らし、世界的な核軍縮に関して前進するための行動をとる、或いは発表すると期待されてる。

そうした行動には、例えば次のようなものを含みうる。▽すべての核兵器を、警告即発射、高度警戒態勢から解く、▽核戦争を開始しない政策の採択(「先制不使用」政策)、▽新型核兵器システムを開発しないとの合意、▽全ての前進配備核兵器の撤去(欧州に配備されている米国の核兵器など)、▽備蓄核物質の段階的削減・廃棄に関する協議の開始、▽気候保護と化石燃料からの段階的脱却を推進するための資源を生み出すために、核兵器関連予算を削減すること、などである。

そうした行動は、国連総会や核不拡散条約(NPT)運用検討会議などのさまざまな多国間フォーラムで既に提示されているものである。しかし、今日までそうした措置を採択・実施する政治的意志は不十分であった。

英国上院議員で、「核不拡散・軍縮議員連盟」(PNND)の共同代表であるスー・ミラー男爵は、「この国連会議では、NPT運用検討会議で同意しながら履行していない漸進的な軍縮措置に関して、英国をはじめとした核保有国が前進を生み出す機会を提供することになるだろう。」と語った。

分断を乗り越える

2010年、核兵器国と非核兵器国の両方を含むNPT締約国は、いかなる核兵器の使用も人類に壊滅的な結果をもたらすこと、すべての加盟国が核兵器なき世界の実現・維持のために必要な枠組みを確立する特別の努力を払わねばならないことに合意した。

この2010年NPT運用検討会議における合意(64項目の行動計画)は、幅広い核軍縮措置に関する協力につながるべきものであった。しかし実際には、その逆が起こってしまった。核保有国が合意内容へのコミットメントから後退したため、非核保有国は核保有国抜きで2010年には合意していなかったその他のイニシアチブ、とりわけ核兵器禁止条約の協議を進めた。この条約は、2017年7月7日に122カ国・地域(内訳は全て非核兵器国)の賛成多数により採択された。

核兵器はいかなる意味においても安全保障を提供しないと主張する非核兵器国と、核抑止力を低減したり安全保障に対する他のアプローチに置き換えたりすることを拒否する核保有国並びにその同盟国の間の分断は深まっている。

国連ハイレベル会議は、この分断を乗り越え、包括的な禁止条約を支持する流れと、漸進的な核リスク低減を支持する流れの両方における前進を可能とする機会を提供するものだ。

安保理会合はハイレベル会議への勢いを生む

1月18日、国連安保理は、カザフスタンのヌルスルタン・ナザルバエフ大統領が議長を務め「大量破壊兵器の不拡散:信頼醸成措置」について話し合う特別会合を開いた。

カザフスタンは核兵器禁止条約の支持国であり、かつて自国の核戦力を一方的に放棄して非核兵器国に転じた経験を持っている。カザフスタン政府は、核兵器に依存している他の国々は、この依存をなくし包括的核軍縮を協議するための協調的な安全保障メカニズムに対する信頼をもつ必要があることを認識している。

ナザルバエフ大統領はそこで、核軍縮を支える信頼醸成措置と協調的安全保障メカニズムに焦点を当てた安保理会合を開催した。この会合はまた、NPTと来たる国連ハイレベル会議を通じた核軍縮に向けた政治的推進力とコミットメントを作り上げることに焦点を当てたものだった。

ナザルバエフ大統領が提示し国連安保理が支持した主要な目標は、国連創設100周年にあたる2045年までに核兵器のグローバルな廃絶を達成するというものだ。この目標は、核抑止への依存から段階的に脱却する具体的で時限を切った計画を策定するよう核依存国に迫るものだ。

しかし、そうした計画を達成する現実的な機会をこれらの国々に与えるには、現状ははるかに程遠いところにある。

この安保理会合に重要な貢献をしたアントニオ・グテーレス国連事務総長は、「核兵器に関する世界的な懸念は、冷戦以来もっとも高まっている」と警告した。グテーレス事務総長は、米朝間の核の威嚇について留意する一方で、来たる平昌冬季オリンピック(2月9日~25日)で合同チームを結成すること韓国と北朝鮮が認めた「ミニ雪解け」を歓迎した。

グテーレス事務総長はまた、「グローバルな軍縮アジェンダに向けた新たな方向性と推進力を生み出す機会を追求する」意向を明らかにした。この線に沿って、今年後半に向けて、潘基文前国連事務総長が2008年10月24日の「国連デー」に発表した「5項目の核軍縮提案」に類似した、しかしそれを更新する主要な提案を行う予定だ。

主要措置に対する政治的支持

5月の国連ハイレベル会議に参加予定の指導者らは、前述の核リスク低減措置への支持を強化するものとみられる。既にそうした措置の一部は、核兵器国に対して核兵器使用の準備態勢を緩和するよう求める国連総会決議等の形で進展をとげている。

主な議会や議会間組織からも支持が集まっている。欧州安全保障協力機構(OSCE)議会連合(米国・ロシア・フランス・英国の議会も含む)は、核による威嚇態勢の低減、警戒態勢の解除、核戦争を開始しない政策の採択(先制不使用政策)を呼びかける「核不拡散・軍縮議員連盟」所属議員提出の決議を採択している。

核兵器国における取り組み

核兵器なき世界の実現を標榜し、この目標に向かって前進する措置を取ったバラク・オバマ大統領と比べると、トランプ政権は核兵器への依存を強化し、軍縮の公約に背を向けているかに見える。このことは、ハフィントン・ポストが1月11日に草案をリークした米国の「核態勢見直し」に反映されている。

しかし、核兵器を単独で使用しうる大統領の権限に関する上院外交関係委員会での公聴会など、米議会でいくつかの動きが改めて起こっている。加えて、米上院議員でありPNNDの共同議長であるエドワード・マーキー上院議員が、(テッド・リュー議員による下院での同様の法案とあわせて)上院で法案を提出し、議会との協議なしに米大統領が核攻撃を開始する権限を制限しようとしている。

マーキー上院議員はまた、国務長官、国防長官、エネルギー省長官に対して、現在の「核態勢見直し」に、核兵器による威嚇態勢を緩和し、核兵器使用のリスクを低減し、核兵器のグローバルな廃絶という目標を前進させる内容を盛り込むよう求める共同議員書簡のとりまとめをおこなった(トランプ政権に対する核兵器の役割低減に関する共同書簡と、状況を不安定化させる核兵器の開発に反対するトランプ政権への共同書簡を参照)。

英国では労働党党首でありPNNDの主要メンバーの一人でもあるジェレミー・コービン議員が、自らが首相に就任したならば、核兵器使用を承認しないと表明している。

これらの活動は、あらゆる核兵器使用が人間にもたらす壊滅的な帰結に関する国際社会の意識の高まりとあいまって、国連ハイレベル会議への道を開き、核兵器の使用を予防するための核リスク低減措置への対処がなされ、前進がもたらされることになるだろう。

気候変動との関連

つい最近まで、核軍縮の問題は、気候変動に対する地球規模の行動に比べると控えめな2番手の位置にあり、世間の関心も政治的注目度もずっと低かった。今日、国連ハイレベル会議に向けて顕在化してきているのは、核リスクの問題が気候変動のリスクへの対処と同等に重要な問題であるということにとどまらず、2つの問題が相互に関連している、という認識である。核兵器関連予算は、化石燃料からの脱却に必要な資源を食いつぶしている。

加えて、各国が採用している核戦略は、主要国間の緊張を高め、世界規模でCO2排出量削減目標を達成するために必要な協力を阻んでいる。

国連ハイレベル会議に参加する市民社会は、「(より良い支出のために)核兵器に使われるカネをカウントする」キャンペーンなどを通じてこうしたつながりを明らかにしていくことだろう。同キャンペーンは、核兵器関連予算を、気候保護や、その他の社会・経済・環境上のニーズに振り向けていくことを目指すものだ。

国連会議における核兵器禁止条約

核兵器禁止条約を支持しているのは非核兵器国だけであるため、核保有国や拡大核抑止(=核の傘)ドクトリンの下にある国々が国連ハイレベル会議において禁止条約への参加表明を行う事態はありそうにない。

しかし、国連ハイレベル会議は非核兵器国が同条約に署名する場を提供しうる。核兵器条約は国連ハイレベル会議と同じ場所である国連本部に寄託されている。これまでのところ、56カ国が署名(5カ国が批准)済みだ。ハイレベル会議の間に30~40か国が署名する事態もありえる。そうすれば、この新しい法的枠組みに対するより大きな推進力が与えられることになるだろう。(1.29.2018) INPS Japan/ IDN-InDepth News 

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