Nuclear Abolition News and Analysis

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IDN Global News

The Vatican Galvanizes Support For A Nuke-Free World

バチカンが非核世界への支援を活性化

【バチカンIDN=ラメシュ・ジャウラ】

Photo: Cardinal Peter Turkson of Ghana welcoming Vatican conference participants on November 10. Credit: Katsuhiro Asagiri | IDN-INPS11月10・11両日にローマ教皇庁が主催した「核兵器なき世界と統合的な軍縮」への展望を巡る初の国際シンポジウムが、北朝鮮との緊張が激化する米国のドナルド・トランプ大統領のアジア歴訪と重なったのは、意図した結果ではない。会議は数年の準備を経たものであり、そのタイミングは、ガーナ出身のピーター・タークソン枢機卿がうまく表現したように、「摂理」とでも言うべき偶然であった。

正式には、「冷戦期の抑止政策から完全核軍縮への移行に対する支持を活性化することを目的とする」と説明されたこの国際シンポジウムには、11人のノーベル平和賞受賞者をはじめ、国連、北大西洋条約機構(NATO)関係者、ロシア・米国・韓国・イランを含む一部の核能力を持つ国々や、在家仏教組織である創価学会インタナショナル(SGI)の代表者らが参加した。

この国際シンポジウムは、バチカン市国を含む122カ国が7月7日にニューヨークの国連本部で採択した核兵器禁止条約に続くものである。同条約は、核兵器は非道徳的であるというだけではなく、戦争の違法な手段であると見なされるべきであるとしている。この条約の実現に大きな役割を果たしたとして、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)が2017年のノーベル平和賞を受賞している。

NATOのローズ・ガテマラー事務次長は、最近成立した核兵器禁止条約について、北朝鮮の違法な核開発による脅威の高まりなど、今日の安全保障上の問題を無視する危険を冒すものだと警告した。この点は、条約交渉に加わらなかったフランスや英国、米国によっても強調された点である。

これらの国々は共同声明でこう述べている。「我々は、条約に署名・批准したり、加盟国になったりする意図は全くない。したがって、核兵器に関して我々の法的義務にはいかなる変化も生じない。たとえば、我々は、この条約が、慣習国際法を反映しているとか、いかなる意味においても、その発展に寄与することになるとかいった主張には与しない。重要なことは、核兵器を持つその他の国々や、核抑止に依存するほぼ全てのその他の国々もまた、交渉には参加していないということだ。」

ガテマラー事務次長はさらに、NATOとその同盟国には、世界において核兵器を削減してきた長い歴史があると語った。冷戦終結以来、NATOの同盟国は、欧州における核戦力を合計で9割以上削減してきた。ガテマラー事務次長は、核不拡散条約(NPT)こそが現実的かつ検証可能な核戦力の削減を通じた、核兵器なき世界を実現する最善のメカニズムであるとして、全てのNATO同盟国によるの強いコミットメントを強調した。

今回の会議でフランシスコ教皇に対して出された11月10日の声明で、会議に参加したノーベル平和賞受賞者11人のうち5人が、「今回の会議が新たな国際的法規制を立ち上げ、核兵器と、それを放棄することを拒絶している国家に一層の『違法の烙印を押す』ことに役立つものとなることを望む。」と述べた。

彼らは、市民社会や宗教コミュニティ、さまざまな国際組織、諸国家が、核兵器禁止条約を前進させるうえでの共同の役割を称賛した。この条約は、「瞬く間に生命を根絶やしにする能力がある」兵器に終止符を打つことを目的としたものだ。

彼らは、核兵器に依存する必要性を感じる国がなくなるような「包摂的で平等な」国際安全保障体制が必要であり、誰もが「どんな倫理的で道徳的な人間が、機械に人間を殺す能力を与えても問題ないと考えられるだろうか」と自らに問う必要がある、と強調した。

彼らはまた、「差し迫った戦争の第三次革命」を回避するために、「核兵器が戦争で使用される前に、廃絶されねばならない」と指摘したうえで、そのためには、「富の創出よりも人間を優先すること」さらに、「真の安全保障は、個人や社会のニーズを満たすこと、すなわち、人間の安全保障の確保と共通善の促進に集中することから生まれると認識する」必要性を訴えた。

この声明に署名したのは、モハメド・エルバラダイ元国際原子力機構(IAEA)事務局長マイレッド・マグワイヤ氏アドルフォ・ペレス・エスキベル教授ジョディ・ウィリアムズ教授ムハマド・ユヌス博士らである。

タークソン枢機卿は開会の挨拶で、この国際シンポジウムは「核兵器国に対して、進行している戦略的な核戦力の削減について、加速させるとまでは言わないにしても、努力を根気強く継続させ、究極的には、核兵器なき世界を目指させる世界の意思」に関するものだ、と強調した。

タークソン枢機卿はまた、「この国際シンポジウムは、『キューバミサイル危機以来ほとんど経験されたことがないような、潜在的な世界規模の大惨事への恐怖が高まっている人類の歴史の瞬間』において開催されています。核兵器が再び世界的な問題となり、諸国家並びに、私たちの将来と将来世代に影響を及ぼしているのです。」「そこで私たちの対話は極めて重大な意味合いを持つことになります。国際社会が平和と戦争に関して、今後数か月、数年で行う決定、とりわけ、政治的責任を持った人々による決定は、人類と地球の将来に大きな影響を及ぼすことになるだろう。」と語った。

このシンポジウムを主催した教皇庁人間開発促進省(仮訳)を率いるタークソン枢機卿は、核兵器国間の緊張、さらには、核兵器国と核兵器保有をめざす国々との間の緊張状態を考えると、こうした対話は緊急に必要とされているものだ、と語った。

こうした状況を背景に、フランシスコ教皇は11月10日にシンポジウムの参加者に対して、核兵器は「紛争の当事者だけではなく人類全体に影響を及ぼす『恐怖の精神構造』に奉仕するために存在するものです。」と指摘したうえで、「大量破壊兵器、とりわけ核兵器は、誤った安心感を生み出むだけです。」と語りかけた。

「国際関係は武力や、相互の威嚇、軍事力の顕示によって統治することはできません。これらのものは、連帯の倫理に育まれた人類の平和的共存の基礎を築くことはできません。」

フランシスコ教皇は、今年発布50周年を迎えたパウロ6世の回勅「ポプロールム・プログレッシオ-諸民族の進歩推進について-」で人類の総合的発展という概念が示され、それを「平和の新しい名前」として提言されたことに注目し、「『無駄と切り捨ての文化』を拒絶し、自己中心的でその場限りの利益を追求するのではなく連帯のプロセスを重んじる地道な努力を通じて、痛みを伴う不平等の中で精励している諸個人や諸民族を慮る必要があります。」と語った。

中満泉国連軍縮問題上級代表は「非核兵器地帯を追求する方法について議論する、世界の指導者や市民社会のアクター、諸政府によるいかなる集まりも、国連の軍縮活動の目的にとって非常に有益なものです。」と指摘したうえで、核兵器を根絶するために実質的に何ができるかについて、大いに話し合っていきたいと語った。

中満上級代表はまた、「北朝鮮の核問題への唯一の解決策は政治的なものであり、軍縮や軍備管理、核不拡散に関する協議は、こうした政治的解決を見出そうとする努力に「熟考の機会を与える空間」を創出するものだと国連は考えている。」「従って、私たちは軍縮に関して決してあきらめてはいません。それどころか、状況が厳しいからこそ、軍縮の議論がより重要だと考えています。」と語った。(10.10.2017) INPS Japan/ IDN-InDepth News 

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