The Rapidly Increasing Urgency of Nuclear Zero

急速に緊急性を増す 「核兵器廃絶」

【サンタバーバラ(米加州)IDN=リック・ウェイマン】

From L to R: Front Row: Daniel Ellsberg, David Krieger, Noam Chomsky. Second Row: Paul K. Chappell, Rick Wayman, Elaine Scarry, Steven Starr, Richard Falk, Jackie Cabasso, Jennifer Simons, Peter Kuznick, Judith Lipton, Kimiaki Kawai. Third Row: Robert Laney, Mark Hamilton, Daniel Smith, John Mecklin, Hans Kristensen, Rich Appelbaum. (photo by Rick Carter)2016年10月24・25の両日、核時代平和財団は、様々な分野から核問題に取組んできた少人数の専門家(学者、活動家、思想家等)を招集して、核軍縮に向けたグローバルな言説をいかにして変えていくかを議論した。シンポジウム「喫緊の課題である核兵器廃絶」において、参加者らは、核の脅威をめぐる現状、核兵器廃絶に立ちはだかる地政学的・心理学的障害、今後進むべき道筋について議論した。

シンポジウムから僅か2週間後にドナルド・トランプ氏が米国の新大統領に選出されるという新たな政治的現実を盛り込むために、シンポジウム最終声明の発表は大幅に遅れることとなった。

今日の世界は、壊滅的な核の脅威に満ちている。最も破壊的な脅威は米国とロシアによるものであり、世界に1万4900発存在する核兵器の内、両国が実に93%を保有している。これらの核戦力が使用されれば、間違いなく「核の冬」が訪れ、人類文明の将来は深刻な危機に立たされるだろう。例えば、インド・パキスタン間の核交戦でも、地球の気温は相当程度に低下し、広範な飢餓と世界合計で20億人の死を招来する可能性が高い。

シンポジウムの最終声明は、シリアの多面的な紛争、米軍の太平洋への軸足シフト、大西洋条約機構(NATO)の戦争演習、東欧における米ミサイル防衛、引き続く北朝鮮との緊張関係など、数多くの極めて不安定な状況について指摘している。2017年1月21日にこの最終声明が公表されて以来、「核兵器廃絶(=核ゼロ)」を実現させる緊急性はますます明らかになってきている。

イランによる1月末の中距離弾道ミサイル実験後、トランプ大統領はツイッターで「イランに公式に警告する」と述べた。他方、米空軍は2月7日に大陸間弾道ミサイル「ミニットマンⅢ」の実験を計画している。米国は全米5州のミサイル格納庫に核兵器を搭載した「ミニットマンⅢ」を約400基配備している。

米空軍当局は、大陸間弾道ミサイルの実験後に、「攻撃からの防護を求める我々の同盟国と、平和を脅かす敵国に対して我々が送るメッセージ」だとして実験を称賛するのが通例だ。今週行われたミサイル発射を巡るダブルスタンダードは、米国以外の国々にとっては明らかだろう。

時計の針が進む

1月26日、『原子科学者紀要』の「世界終末時計」の針が、午前零時(=人類の絶滅)まで「あと2分半」に進められた。1950年代以来、午前零時に最も近付いたことになる。これにも関わらず、そして、上記の恐るべき状況にも関わらず、私達人類を破滅の淵から救い出すために一般市民の支持を必要とする前向きな取り組みが存在する。

エドワード・マーキー上院議員(マサチューセッツ州選出)と、テッド・リュー下院議員(カリフォルニア州)は米議会に、核兵器の先行使用を一方的に命令する大統領の権限を制限する法案を提出している。もっとも、かりにこの法案が可決したとしても、米議会が敵国に対して宣戦布告すれば、米国は依然として核兵器を先行使用することが可能であることから、十分な内容とは言えない。

しかし、トランプ大統領が不規則に行動し、非合理的な報復に打って出る傾向があることを踏まえれば、この法案制定が必要なものであることは明白だ。核兵器は決して民主主義と折り合うものではない。ハリー・トルーマン氏からトランプ氏に至る全ての米大統領は、巨大で、責任など取りようもない力を自らの手中に収めてきたのである。

3月15日、米連邦第9巡回区控訴裁判所は、マーシャル諸島共和国(RMI)が米国に対して起こした訴訟の口頭尋問を行う。RMIは米国が核不拡散条約第6条(次の段落を参照)に従うよう求めている。

各締約国は、核軍備競争の早期の停止及び核軍備の縮小に関する効果的な措置につき、並びに厳重かつ効果的な国際管理の下における全面的かつ完全な軍備縮小に関する条約について、誠実に交渉を行うことを約束する。

マーシャル諸島はとりわけ、米国は「これまで一度もなされたことがない交渉、すなわち、核軍拡競争の停止と核軍縮に関連した交渉を呼びかけ誠実に追求すべき」だと訴えている。米国に対する訴訟はもともと2014年にオバマ政権に対して提起されたが、審理が裁判所で続いていたため、現在はトランプ政権が相手となっている。

そして、3月27日には、核兵器禁止条約に関する歴史的な交渉が国連で開始される。昨年12月に国連総会で113カ国が支持したこの取り組みは、「核兵器の使用・開発・生産・取得・貯蔵・保持・移転に加え、あらゆる禁止行為に関与するあらゆる者への支援・勧奨・誘導も含め、核兵器に関連した幅広い行為」を禁止する条約につながることであろう。

昨年12月22日、当時は次期大統領だったドナルド・トランプ氏は「米国は、世界が核に関してまともな感覚を取り戻すまでの間は、核能力を大幅に強化し拡大しなくてはならない」とツイートした。しかし現実には、世界の大多数の国々は、核兵器廃絶を達成する緊急の必要に関して、実際のところまともな感覚を持ちあわせているのである。他方で、世界9つの核保有国とその支援国が、引き続き全人類を脅かし続けている。

核時代平和財団シンポジウムの最終声明が述べるように、「核兵器廃絶に向けて努力すべき倫理的な必然性が存在する。人類やその他の複雑な生命体が将来生き残れるか否かは、この必然性を踏まえた行動にかかっている。」(2.05.2017) INPS Japan/ IDN-InDepth News 

※リック・ウェイマンは、「核時代平和財団」事業・運営部門の責任者。

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