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UN Takes First Major Step Towards a Nuclear Ban Treaty

|国連|核兵器禁止条約に向け大きな第一歩

【ニューヨークIDN=ロドニー・レイノルズ】

Photo: UN General Assembly Hall. Credit: Wikimedia Commons.主な核保有国4カ国を含む40カ国以上が示し合わせて参加を拒否したにも関わらず、核兵器を禁止する国際条約の交渉を目的とした国連会議は、世界で最も危険な大量破壊兵器を廃絶する法的拘束力のある文書の策定を目指す史上初の試みにおいて、大きな突破口を作り出した。

「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)は、「大量破壊兵器の禁止や海洋法の例にあるように、条約がしばしば、非締約国の行動をも変えることがあります。」と述べ、たとえ核兵器国の参加がなくとも核兵器禁止条約は非常に大きな影響力を持つようになる、との予測を示した。

国際社会は、いずれも大量破壊兵器である生物兵器に関しては1972年に、化学兵器に関しては1992年にそれぞれ禁止条約を採択し、これに、対人地雷(1997年)やクラスター弾(2008年)のような無差別殺人兵器の廃絶が続いている。

核兵器禁止条約交渉会議の議長をつとめているエレイン・ホワイト大使(コスタリカ)は3月30日、いったん条約ができあがれば核保有国も最終的には参加するのではないかと記者らに期待感を示した。最終的な交渉(第2会期)は6月15日から7月7日にニューヨークの国連本部で開催が予定されている。

3月27日から31日まで開催された今回の交渉会議(第1会期)は、参加者数の点からいっても大きな成功であった。国連の193加盟国のうち132カ国が参加し、加えて、220以上の市民団体が積極的に参加した。また、80カ国・3000人以上の科学者(ノーベル賞受賞者28人を含む)が、国連への公開書簡で「核兵器禁止」を支持した。

ホワイト議長に手交された書簡は「科学者には核兵器に関する特別な責任があります。なぜなら、核兵器を開発し、その影響が最初に考えられていたものよりずっと恐ろしいことを発見したのは他ならぬ科学者だからです。」と述べている。

2001年にノーベル物理学賞を受賞したマサチューセッツ工科大学(MIT)のウォルフガング・ケタール教授は「核兵器は人類に対する真の脅威だと考えています。この脅威を削減する国際的な合意が必要です。」と語った。

現在、米ロ両国で約1万4000発の核兵器を保有しているが、その多くが高度な警戒態勢下にあり、通告後数分で発射可能な状態にある。

米国フレンズ奉仕委員会(AFSC)平和・経済安全保障プログラムの責任者であり「国際平和・地球ネットワーク」の共同呼びかけ人でもあるジョセフ・ガーソン氏はIDNの取材に対して、「『なせばなる』という進取の精神と、政府・市民社会間の協働の深さには目を見張るものがあり、これは長年にわたる平和運動の活動と組織化のたまものです。」と指摘する一方で、「しかし、世界は正反対の方向をめざす勢力によって駆り立てられています。」と警告した。

ガーソン氏は、韓国や日本からオランダやドイツに至るまで、「『核の傘』に依存する国々の政治勢力が、私たちが知っている生命全てを絶滅させることができる国々と連携し続けるのではなく、核兵器禁止条約を選択するよう自国政府に圧力をかける必要があります。」と語った。

一部の北大西洋条約機構(NATO)加盟国、あるいはアジアにおける米国の同盟国が核大国への依存を放棄したならば、核兵器なき将来に向けて大きな弾みが生まれるだろう、とガーソン氏は指摘した。

ガーソン氏は同時に、「(核兵器禁止)条約が交渉され、採択・発効したとしても、核保有国が自国の核戦力を廃棄する結果に直ちにつながるとの見通しがあるわけではありません。」「21世紀の次世代核兵器と運搬手段を開発するために想像を絶するような多額の予算を費やしている核保有9カ国は、署名・批准していない(核兵器禁止)条約は自国には適用されないと主張するだろう。」と語り、冷静な見方をする必要性も指摘した。

米国は、北朝鮮との対立に関して、先制攻撃も含めた「あらゆるオプションがテーブル上にある」との姿勢を示している。

NATOがロシア国境沿いまで拡大し、ウクライナ危機が起こる中で、米ロ関係は冷戦期の核対立に近いところにまで回帰している。インドとパキスタンは互いを威嚇しつづけており、ブルッキングズ研究所は、挑発的な軍事演習の際の事故や計算違いが、容易に制御を越えてエスカレートする可能性が高い、と警告している。

軍備管理協会(米ワシントン)のダリル・G・キンボール会長は、世界の核保有国が国連核兵器禁止条約交渉会議をボイコットしたとしても、「この前例のない新たなプロセスは、核兵器の非合法性をより明確にし、その使用に対する法的・政治的規範を一層強化することにつながるだろう。」と指摘したうえで、「これは核兵器なき世界という目標とも整合し、『核軍備競争の早期の停止及び核軍備の縮小に関する効果的な措置につき、誠実に交渉を行うこと』を全ての加盟国に義務づけた核不拡散条約(NPT)第6条とも整合する意義のある目標です。」と語った。

今会期の交渉に参加した132カ国のすべてが、「核兵器なき世界」という一つのビジョンを共有している。核兵器禁止条約の策定に向けた活動を主導している市民団体の一つであるICANは、意見の違いが出ることが予想されるものの、提案されている条約のほとんどの要素に関して多くの国々の間に広範な合意が存在する、と3月31日に発表した声明で語った。

会合の締めくくりにあたってICANのベアトリス・フィン事務局長は、「国際法における法的空白を埋め核兵器を禁止することを目指した私たちのキャンペーンにおいて、今週、胸を躍らせるような進展がありました。また、誰も核兵器禁止条約の締結に反対する勢力に気を取られることはありませんでした。条約草案を詳細に検討するのを楽しみにしています。」と語った。

ホワイト議長は、6月15日から7月7日までの交渉最終ラウンド(第2会期)において議論される条約案を5月後半か6月初頭までに議長案として提示するものと見られている。

終了したばかりの第1会期では、核兵器禁止条約の原則と目標ならびに前文に焦点が当てられた。核兵器の保有・開発・実験・使用、さらに、これらの行為に関して他国を支援することの禁止が内容として盛り込まれる予定だ。

4つの主要核保有国であり、国連安保理の常任理事国でもある米国、ロシア・英国・フランスが条約の反対勢力を率いている。他に、イスラエル、オーストラリア、日本、韓国も反対の立場だ。

国連総会が2016年10月に核兵器禁止条約に向けた交渉開始を定める決議を採択した際、残りの核保有国である中国・インド・パキスタンは採択を棄権し、北朝鮮は禁止条約に賛成票を投じた。

驚くべきことに、高見澤将林軍縮会議日本政府代表部大使は、「核兵器国が参加しない形で条約を作ることは、国際社会の亀裂と分断を一層深めるだけの結果に終わるだろう」と発言した。

核による破壊の影響に苦しんだ唯一の国の代表である高見澤大使は「我が国は、引き続き、核廃絶のための具体的かつ効果的な措置の積み上げを追求し、核廃絶を可能にする安全保障環境の整備に努力していきたい。」と発言した。

国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、提案されている文書が核不拡散条約(NPT)を強化し、核兵器の完全廃絶に世界をより近づけること、核軍縮と「全面的かつ完全な軍縮という我々の究極の目標」に対して重要な貢献を成すことを期待すると表明した。

「人類が直面している生存上の脅威である気候変動という難題に対応すべく民衆が活気づけられたのと同じように、軍縮を支持する民衆の意識を喚起し動機づける新しい道筋を見出さなければなりません。」とグテーレス事務総長は語った。

英国のマシュー・ライクロフト国連大使は、主要な核保有国はその核戦力の規模を縮小し続けており、「この交渉は世界的な核軍縮の効果的な進展につながることはないと考えている。」ことを理由に、核兵器禁止条約交渉会議に参加しないと記者らに語った。

米国も同様に、ボイコットについて強硬な姿勢を示した。ニッキー・ヘイリー国連大使は記者団に「私の家族のために、核兵器なき世界ほど望んでいるものはありません。しかし、私たちは現実的にならねばなりません。」「北朝鮮が核兵器の禁止に合意すると信じる人がいるでしょうか。」と問いかけた。

核時代平和財団」の事業責任者リック・ウェイマン氏はこのヘイリー国連大使の発言について、「大きな役割の反転が起こっています。ヘイリー大使が国連総会会議場の外で抗議活動をする一方で、世界中の市民社会組織が支援する世界の国々の多数が、核兵器を禁止する条約の交渉を開始しようとしているのです。」と語った。

ウェイマン氏はまた、「核時代平和財団は、これからも核兵器禁止条約を交渉する誠実な取り組みを支持し、核兵器を永久に持ち続けようとする核保有国の試みに反対していきます。」と宣言した。

同財団によれば、想定される新条約では、核兵器の使用・保有・開発及びそれらの行為に関して他者を支援することを締約国に法的に禁じ、既存の不拡散・軍縮レジームと協調し、無差別兵器に反対する規範を強化し、軍縮義務を満たす手法を諸国に提供するものになるだろうという。

軍備管理協会は将来を予想して、条約を効果的なものにしようとすれば、それは、(a)核兵器の保有、核共有計画、開発、生産、実験に関連した行為を禁止し、(b)NPTを含め、核兵器関連の特定の活動を禁止あるいは制限した既存の条約と整合性があるものであり、(c)核兵器を現在保有するか、核保有国と同盟を組んでいる国々が、この新たな核兵器禁止条約の完全な加盟国となる前に同条約を支持できるようなものでなくてはならない、と述べた。(3.23.2017) INPS Japan/ IDN-InDepth News 

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